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シェイクの違い

数日前。

移転前の袋井店当時によくいらしていたお客様が久しぶりにわざわざおいでくださりました。

あれから1年経っての近況報告を兼ねて久しぶりの話に懐かしさを覚えました。

いつもお飲みいただいているカクテルをお出しいたしましたが、少し表情が変わった。

「マスター・・・シェイキング変えた?」

「はい。少し変えました。」

「だよねぇ。なんか昔の味と違うし音が変わったような気がします」

なかなか鋭い観察眼と舌の持ち主です。

こういう会話も楽しいものです。

「でも好み的には前の味が好きだったかな?」

「そうでしょうね。ハードシェイクの仕方が変わりましたから」

「今は、お酒の持ち味を生かした味わいに変えているのです。もしかしたらと思いましたが、今の味わいも御飲み頂きたかったので」

「今の所、これが落ち着いていますけどね。」

「そっかぁ~この味も美味しいけど昔の味わいもまたいい物ですよね」

「そうですか、では昔のシェイキングでお作り直しいたしますよ♪僕も久しぶりですが、ご希望とあれば!」

「そう!そう!この味!懐かしい~!!」

シェイキング一つでここまで味わいが違う物なのです。

そのカクテルを御飲み頂いているお客様の顔は、笑みと同時にあの頃の懐かしさを思い出されているようでした。

一つのカクテルからバー・テンダーの数だけ味が違う。

それは技術だけではなく様々な要素が加わるものなのです。

このお客様のおかげで、もう一度原点に帰れたような気がしました。

#バーテンダーの独り言

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