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ルーツを巡る旅その③

吉田さんご夫妻と別れてから、私が向かった先は豊田市でも老舗の「Bar Ron Cana」様。

豊田市でまだ駆け出しの頃に20歳になった私を師匠がはじめて連れて行ってくれたオーセンティック・バーでした。

お店に入るとこちらもお花でいっぱいで、何事かと思ったらRon Canaさんもつい数日前に20周年を迎えたばかりだったそうで華やかな店内の中で20年弱ぶりのカウンターに座らせて頂きました。

マスターである中村さんとは、なんどかイベント等でもご一緒させて頂いていた関係と師匠との関係もあり顔を覚えていてくださって、また吉田さんたちから私がこのタイミングで豊田市に来るという事を聞かされていたようで、「15周年なんだってね?凱旋だねえ〜おめでとうございます」というお言葉でで迎えて頂けました。

変わらないお店の中で私は早速「ギムレット」をオーダー。

中村さんのハード・シェイクで頂くのギムレットは、上田さんの流れを汲んでいて自分の目指す味わいでもありました。

話は、昔話から近況のお話になり私がモルト好きになったきっかけが、中村さんから飲んでみなと言われて頂いた「PORT ELLEN シグナトリー 1974」だった事に「懐かしいね〜」と自分が緊張をしてこのカウンターに座らせて頂いた事に懐かしさと共に笑みがこぼれました。

自分の中でバーテンダーとしてきっかけを作って頂いたのが師匠の佐々木さんであるならば、オーセンティックバーをやりたいというきっかけを作ってくれたのが中村さんでした。

そして、別のお店に行っていた師匠が戻って来てまた想い出話に花が咲きました。

今だから言いますけど、今回座らせて頂いた席とはじめて座らせて頂いた席は偶然にも同じでした。

あの頃は、白いバーコートを着てカウンターに立つ中村さんが試験管でカクテルの分量を量っている事に衝撃を受け「科学者みたい・・・」と今では自分がお客様から言われている事と同じ見方だった事に思わず笑ってしまいます。

楽しい時間は、あっという間に過ぎそろそろ帰ろうという事中村さんとお別れをさせて頂く際に「20周年の記念で」といわれ手渡された2つの大きな発砲スチロール。
師匠と私にそれぞれ渡されて「店に飾ってくださいね」と言われ、お店を後に致しました。

ホテルに戻り、疲れがピークだったのでベットに倒れ込み、目が覚めて師匠をお見送りし固い握手をしてから私も静岡へ戻りました。

荷物を置きにお店に戻って、それまで確認をしなかった中村さんが帰りに持たせてくれた大きな発泡スチロールの中身を確認をするとそこには「エルヴィス・プレスリー」のファンシーボトルだったと思われるボトルが・・・

思わず鳥肌が立ちました・・・

なぜかと言いますと、私が静岡市に移転をするきっかけとなったバーテンダー「 I  」氏からも御祝いでエルヴィス・プレスリーのCDを頂いていたのです。

CDを頂いた際になにかメッセージが有るのではないかと思っていたのですが、このふたりの先輩からのエルヴィス。 
何か有るのではと思っていたのですが、中村さんから頂いた中に1通の手紙が。

そこには、お店の20周年の御礼状。

そしてエルヴィス・プレスリーが言った格言が書かれておりました。

それは、

「好きなことを仕事にすれば、二度と仕事をしているとは感じないだろう」

中村さんからのこのサプライズが無ければ「 I  」さんのからのメッセージもわからなかったと思います。

16年目のBAR NO'AGE。

自分はこの道を歩む為の言葉をふたりの先輩達から頂けた様に感じ、この偶然の出来事がこれからのNO'AGEが20年、30年と続いていく為の心構えなのだと大切に受け止める旅となりました。

これからも、BAR NO'AGEを宜しくお願い致します。

BAR NO'AGE  井谷 匡伯 ・ 洋子

 

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