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自然界突発的恐怖の出会い

 ちょうど季節的には今頃だったと思う。
 ミッジ(ユスリカ)にまじって、#18サイズ(約5?)のメイフライ(カゲロウ)がハッチ(羽化)しているという情報を得て、釣友と二人でフライロッドを担いで奈良の渓流に出掛けた。
 本流は餌釣り師が頑張っていてフライをキャストできるスペースが見つからないので、先行者のいなさそうな支流を釣り上ることにした。

 並んでキャストするほど川幅が広くはない。ポイントごとに交互にフライをキャストしていく。
 二人とも何匹かのアマゴとは出会えたのだが、イワナとの出会いはないまま午前中の釣りは終了。
 弁当を食べてからも小一時間ほど、交代でキャストを繰り返しアマゴを追加はしたものの、イワナはフライに反応してくれなかった。

 いかにもイワナの潜んでいそうなポイントを発見。
 そのポイントを譲って欲しいと頼んだら、「雉撃ち(トイレ)に行きたいからいいよ。」とあっさり。
 足音を立てないよう、陰を落とさないよう、水音を変えないよう、ソロリソロリとそのポイントにキャスト出来るポジションに移る。

 ナチュラルカラーのCDCダンをチョイス。ティペットに新しいフライを結び、キャスティングをしようとした瞬間、川下で。

 ドボン。
 バチャバチャ。

 あのアホ!!!!!
 なに転けてるねん!!!!!
 ドンクサイにもほどがあるぞ!!!!!
 一発でアウトやん!!!!!

 と、振り返った私。
 完全にフリーズ。

 アホがツキノワグマに変わっているではないか。

 罵声?怒声?恐声?どころではない。
 ワーか、キャーか、ギャーか???
 とりあえず何かの声は出たようだ。

 クマがのっそりと顔を上げた。
 目と目が合った。
 ヤツは何の感心もないかのように、堂々と山へ帰っていった。

 クマに睨めっこで勝った男となった(笑)

 のんびりズボンをあげながら帰ってきたアホは、何度話しても信じてはくれない。
 

#釣り

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