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ご指名

 ××チャン3番テーブル様お呼びです…、ではない。
 ある酒が飲みたいという指名である。
 あれば良いのだが、無いこともある。

 ボトラーズやビンテージまで指定されたらお手上げだ。
 そんなに何もかもを持っているわけではない。
 持っていそうなバーを知っていれば教えることはしているが、行くか行かないかはお客様の自由である。

 どこかで飲まれたことがあるのか、飲んだ方から聞かれたのか、ネットや書籍で調べられたのかはおたずねはしない。
 何故か知っていて、飲んでみたいと思って、店のドアを開けて下さったのである。
 でも残念ながら、無いものは無いとしかお答えできない。似て非なる酒をお勧めするしかないのだ。

 国会図書館のようなバーは存在しない。
 酒は飲めば減る。
 減っていくからこそ、その酒の存在価値が上がるのだ。

#徒然なるままに

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