Inverness インヴァネス
ネス湖の河口の北ハイランドの都
人口:約5万人
近郊蒸留所:グレンアルビン、グレンモール、ミルバーン、ロイヤルブラックラ、トマーティン、スペイサイド、ダルウィニー
Inverとは河口の意味で、その名の通りLoch Ness(ネス湖)の河口に位置する古くからあるハイランドの都。
インヴァネスの街が世界的に有名になったのはネッシー伝説のおかげ、ネッシーはなんとAD563年聖コロンバがアイオナ島に修道院を建設しピクト族のキリスト教化をすすめた頃からすでに目撃されている。
現在は観光地として栄えているが、ネス湖観光だけでなく、近くには聖アンドリュー大聖堂や街のランドマークとしてそびえるインヴァネス城など見どころもたくさんあり、カモメが教会の屋根や時計台のうえでふわりと舞いあがってそのまま絵葉書になりそうなくらい本当に美しい街。
ここから少し東のネアンの街との中間あたりに、1746年ジャコバイト軍がイングランド軍に敗北したカローデンの戦いの戦場となったカローデンムーア(荒野)やシェークスピアの「マクベス」の舞台となったコーダ城がある。
インヴァネスにはかつて3つの蒸留所があった。
いずれも80年代の不況で閉鎖された、グレンアルビン、グレンモール、ミルバーンだ。
WWⅠ時にUボートの機雷を製作していたグレンアルビン(関連:ダルモア)とグレンモールは共にネス湖の水を仕込み水につかっていた姉妹蒸留所、今はどちらもショッピングセンターになっている。
ミルバーンは1807年に設立された3つのなかでは最古の蒸留所だが、今はインヴァネス観光客の為のホテルが建っている。
インヴァネスから最も近い蒸留所は、南へ24キロほど行ったトマーティン村にあるトマーティン蒸留所。
かつてはスコットランド最大級の生産規模を誇っていたが、同じく80年代のウイスキー不況により倒産、85年に宝酒造が買収した(日本初のスコッチ蒸留所のオーナー)。
70年代ピーク時には副業として、蒸留所の温排水を利用してフランスに輸出する為のウナギの養殖をしていた、変わった蒸留所だ。
変わっていると言えばここの初留釜(ボール型)にはサイトグラスがなくて、代りに天井から吊るしたヒモにボールをつけた変な道具で釜の表面を叩いて、音で泡立ち具合を判断するという、ここの職人にしか出来ない匠の技が採用されてる。
インバネスからバスで40分、ガイドツアーによる見学、試飲が出来る。
東のネアンの街はゴルフの聖地、高級リゾート地として有名で、ここにロイヤルブラックラ蒸留所がある。
ロイヤルと名のつく3蒸留所の中で初めてロイヤルワラントを授かった蒸留所だ。(関連:ロイヤルロッホナガー、グレンユーリーロイヤル)
ブレンデッドスコッチをつくったアンドリューアッシャーが経営に関わっていた。
オーナーはバカルディ社(ジョンデュワー&サンズ社)で、デュワーズの原酒でもある。
トマーティンからそのまま南に下っていくと、スペイサイド蒸留所、さらにダルウィニー蒸留所がある。
スペイサイドは蒸留所建設に25年もかかった小さなファミリー経営の企業(スペイサイドディスティラリー)。
モンゴルで人気のブレンデッドウイスキー「ヨコズナ」の原酒。
ダルウィニーはスコットランドで2番目に標高の高い蒸留所(1位はブレイヴァル)で、気温が低くて、蒸留所の屋外にある巨大な木製のワームタブが目印。
ダルウィニーとは集結所の意味で、清教徒革命を主導したクロムウェルの兵隊も、ジャコバイト軍もここを通って戦場に赴いた。毎朝9時に気象観測をするのが所長の日課。
シングルモルトは5%ほどで、ほとんどがブラック&ホワイトやロイヤルハウスホールドの原酒となる。
#北ハイランド(穴埋め式)