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大島さんからのブラインドサンプル

モルト仲間でこのブログにもコメントを下さる大島さんから、ブラインドサンプルが届きました。

大島さんご自身が同じ蒸留所の2本のボトルを1:1でブレンドして寝かせたサンプルという今までとはちょっと異質な出題で、2つともリフィルも含めシェリー系の樽で、ひとつはオフィシャル、もうひとつはボトラーというヒントがついていました。
どういう思考過程を経てどういう根拠で予想をするかを知りたいとのことでした。

(以下はブラインドでテイスティングした内容です。)
 

・大島さんブラインドサンプル

香りはシェリー、プラム、若めの麦感、ブルーベリーソースのデニッシュ、少しダシ醤油、全体に湿ったニュアンス、飲んでも最近のPXシェリー感が強いが支配的ではなく若さは樽にマスクされきってはいない、デニッシュっぽさのある麦とその旨み、わりとスパイシー。

【Good】

総合すると近年詰めのシェリー感で、サルファリー要素は香りにだけ見え隠れするかなという感じ、シェリーと別に麦感もしっかりあり、ベリーソースのかかったデニッシュという印象。
ドロナックのPX(ペドロヒメネス)シェリーカスクの若めのものに近いニュアンスと感じた。
ドロナックだとしたら、ヴァッティングはオフィシャルのカスクストレングス・バッチシリーズと、若干サルファリーもあるがオフィシャルと毛色が近いボトラーのものを混ぜたらこんな感じになるかと思われる。

 
予想
・グレンドロナック
 

以上のようなテイスティングと予想にしました。

 
正解は・・・、
 

 

 

 

 

 

グレンドロナック
オフィシャル カスクストレングス・バッチ1 54.8%
ケイデンヘッド 1988-2000 シェリーウッド 46%

この2つのボトルをほぼ1:1でヴァッティングし、ロングジョンのセラミックジャグで寝かせたものでした。

オフィシャルカスクストレングス・バッチシリーズのPXシェリーの独特のクセと、加水短熟のためかピンと来なかったケイデンのボトルを混ぜることで、補完されるのではないかという意図のヴァッティングだったようです。

度数の問題もあるのか、どちらかというとカスクストレングスのバッチシリーズの雰囲気が強く出たサンプルだと感じましたが、言われてみれば比較的穏やかなようにも思いますね。
とりあえず、概ね正解できてよかったです。

正解発表のあと大島さんとも意見交換したのですが、ドロナックのPXシェリー感って他の蒸留所のPXカスクのものと異質な独特の個性があるように感じます。今回のオフィシャルバッチ1にもその個性が結構強く感じられ、おそらくメインはPX系のシェリーカスクなのではないかと思います。
自分としては嫌いではないのですが、オロロソと比べると熟成を経ても麦感と融合せずどちらも主張するような印象があります。
以前記事にもしましたが、なんとなくデニッシュを連想してしまうのはそのためだと思います。さらに長く熟成すると融合してくるのでしょうか、気になるところです。

近年のドロナックのオフィシャルボトルにはヴァッティングも含めこの系統が多く、蒸留所の意図する味なんだと思われ、今のハウススタイルと言えるのではないかという話になりました。

ちなみにオロロソバットもオフィシャルのシングルカスクでしばしば出てきますが、私はオロロソのほうが好きです。(笑)

ドロナックのPXシェリーは、美味しいのですがオロロソと比べるとちょっととってつけたような甘味に感じられ、やや不自然な印象を受けます。
延長線上に苦手だったMoSの1972ゴインがあるようなイメージです。

とはいえ強いサルファリーを感じるボトルがあまりなく、若くても甘くて美味しいボトルが多く、シェリーカスクのスコッチがどんどん減って高額化していく中で貴重な方向性だと思います。

改めてPXシェリーや若いドロナックの方向性を考える機会になりました。
大島さん、ありがとうございました。

 

#グレンドロナック (GLENDRONACH)

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