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第4回SBTボトルF:トマーティン 1990-2008 18年 オフィシャル ドイツ向け #16351

第4回SBTボトルF、テイスティング時には知りませんでしたが、出題者はgoblinさんでした。

トマーティン TOMATIN 1990-2008 18yo OB SINGLE CASK #16351 58.3%

(以下はブラインドでテイスティングした内容です。)

・香り
しっかりした麦、リンゴと青リンゴの両方、オイル、蜂蜜、アプリコット、青草、麦の甘い香り。
 
・味わい
コクのある蜂蜜、スパイシー、少し植物感、青リンゴ、少し白ワイン、蜂蜜と麦の甘味、ややコクあり、スパイシーだが少しクリーミー、ミディアムボディ。麦とシロップの甘味が残る。

・総評
わりと淡白で複雑さはそれほどないが、モルティでコクもあり美味しい。そこまで若いニュアンスを感じず、かといってすごい熟成感があるわけでもない。いろんな方向性でほどほどの良さがあった。嫌味もない。蒸留所予想のキーになるフレーバーが少なく、今回の出題では一番難しく感じた。

予想は麦感と蜂蜜とオイル、少し感じたクリーミーさから選んでみた。
山崎のパンチョンとかもこんな感じにならないだろうか。
 
【Good】
 
予想蒸留所:①プルトニー、②山崎、③グレンロセス
蒸留年:1990年代
熟成年数:20年程度
度数:52%前後
点数:82
カスクタイプ:リフィルバーボンホグスヘッド
妥当な価格:8000円

このボトルに対するSBTでの評価、正解発表はこちら
⇒  ボトルF評価    ボトルF正解発表

正解ボトルはオフィシャルドイツ向けのトマーティン1990、カスクストレングスのシングルカスクでした。
テイスティングコメントにも書きましたが、私としては今回の出題の中で一番の難問でした。
麦感と蜂蜜の甘味にほどよいフルーツ感もあり、バランスも良く美味しいボトルなのですが、これといった特徴が見つからなかったんですよね。。。
でも、酒質の良さを感じるボトルで、今回の答えを聞いてトマーティンの印象がさらに良くなりました。

トマーティンは、私が飲み始めた10年くらい前は、はっきり言って生産量が多いだけの地味な蒸留所というイメージでした。かなり前から日本企業が持っている蒸留所だったと思いますが、ほとんど話題にもならなかった気がします。
それが今や立派な人気蒸留所のひとつになっています。

今回のgoblinさんの出題テーマは、「人気蒸留所の90年代を飲む+76トマーチンとか77トマーチンって意図してあの味出してね?」でした。
goblinさんがおっしゃるには、1976蒸留のオフィシャル30年はこのボトルのような味わいで、決してボトラーの1976のような濃厚なフルーツの甘さが際立ったものではなかったそうです。

生産量も多い蒸留所ですし、もしかすると、際立ってトロピカルでフルーティなものだけがわりと多くボトラーに流れ短期間に多数流通したためにそういう印象を持たれただけで、蒸留所にある1976の中ではトロピカル系は多数を占めるものではないのかもしれません。
つまりはボトラーの意図が作り出した1976神話なのかもしれません。

とはいえ、今回のブームより前に流通したボトルでも1976に限らず確かにトロピカルなものはありますし、この蒸留所が出すことのできる優れたフレーバーなんだと思います。

そして、先日このブログでも紹介した現行のオフィシャル25年には、人気の1976に代表されるトロピカル感がちゃんと感じられます。
逆算すると主に使われているのは80年代蒸留のものでしょうから、やはり1976に限らないトマーティンの特徴といえるようで、今後に期待が持てそうです。

蒸留所側が市場の需要を認識して、人気のフルーティ系はブレンデッドではなく積極的にシングルモルトに回すようになったら、トマーティン=トロピカルフルーツというのがハウススタイルとして当たり前に認識される日が来るのかもしれません。

改めまして、興味深い出題をありがとうございました。

 

#トマーティン (TOMATIN) #SBT

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