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理想のジントニック

 僕がバーを開業するにおいての一番の不安はカクテルだった。バーテンダーとしてのキャリアは2年半程はあるのだが、前に働いていたバーでは色々なカクテルのオーダーを受けた事はあまりなく決まったスタンダードなカクテルのオーダーが多かった。NBA(日本バーテンダー協会)にも属しておらず、また師匠がいたり、誰かに教えてもらった事はなく人に聞いたりして、ほぼ全て独学によるものである。カクテルレシピはそれなりには覚えるようにしてはいるのだが、どうしてもモルトやその他の勉強に時間を費やす事の方が多くなってしまう。

 店を構えるにあたりカクテルメニューについて心掛けた事は数多くのカクテルメニューを用意しない代わりにお出しするカクテルはきちんとお作りできる美味しいものをご提供する事。一日にご提供できる数量は限られるがオレンジ、グレープフルーツは生から搾るフレッシュジュースを使う、氷は純氷を使い、割る時に角を落とす、炭酸類は使った後にシーズラー(開栓後に炭酸が抜けないようにするキャップ)をしても30分位の一定の時間を過ぎたら破棄して使わないようにする。

 一番考えたのはジントニックである。僕は知らない店に一見で入ったらまずはジントニックをオーダーする事が多い。それ以外に知らないバーに行ってカクテルならまず何をオーダーするかを考えるとバーテンダーの技量を試すのなら「ジンフィズ」とよく言われる。これは「バーテンダー」と言う漫画にもあったが漢字を書く際の留め、跳ね等でありカクテルで言うならシェイク、ビルド等の全ての要素が含まれているからだと言う。腕前を試されて納得して頂ける程の技量を僕は備えていないと思った。それはマティー二にしても同じ事である。ならば自分が美味しく作れて自信を持ってご提供できるカクテルは何か?と考えた末に至った結論がジントニックである。

 ジントニックについては実際いろんなバーに飲みに行って、味を見たり、グラスを見たり、それを元に自分で作ったりして色々研究した。しかし、いかんせんキャリアも無い未熟な自分がそれ位で美味しいジントニックを作れるはずも無い・・・。色々調べて試行錯誤を繰り返すうちに自分が理想とするジントニックの形が段々と出来上がっていった。

 その理想のジントニックを考えるにあたり大きな力となったのはえて吉様のブログである。現在の「こんなの食べたよ」のブログにリニューアルされる前の「えて吉の飲み食い」と言うブログを僕はよく見ていた。そこにジントニックに関する記事が幾つかあり、それを大変参考にさせて頂いた。えて吉様本当にありがとうございます!

 ジントニックの作り方においてはどこのバーにおいてもさほど違いは無いと思う。しかし、使う材料においてはそれぞれの個性が出てくる。ジンにおいては初めは3種類だったのだが今ではスタンダードなものを4種類揃えた。ライムもストックするのは必要な数だけで小口に買出しに行っている。トニックウォーターにおいてはウィルキンソンを使うか、シュウエップスを使うか、また甘味を抑える為にジンソニック(トニックとソーダを混ぜて甘味を抑える作り方)にするか等。またグラスにおいては普通のソーダガラスのタンブラーにするか、それともクリスタル素材の薄いタンブラーにするか・・・何回も試行錯誤を繰り返した。

 その試行錯誤の上に行き着いたジントニックというのがタンブラーは木村硝子。氷はもちろん純氷。ライムは1/8カットにしてライムの果汁を搾り香りをつける。ジンは4種類からお選び頂けるがご指定が無い場合はビィフィーター。トニックウォーターはシュウエップスのトニックウォーター。この理想のジントニックの完成に至るまではえて吉様のブログを大いに参考にさせて頂いた。美味しいかどうかをお決めになられるのはお客様である。しかし、このジントニックにおいては他のカクテルに比べるとちょっとだけ(笑)自信があります。

whiskycat1494のジントニックは参段自身が飲みたいと思った理想のジントニックです。

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