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麦溜。

ウイスキーマガジンLive!2008で、モルトウイスキー物語を題材にした新作能「麦溜」の一部が上演されたので、ご覧になった方も多いでしょう。

ライブで能をご鑑賞されたニッカウヰスキー相談役・竹鶴威氏が、NIKKA倶楽部メールマガジン「From the Barrel 69号」に初めて語られた、次のようなエピソードをお書きになっている。

(抜粋)
「麦溜」という題目で思い出したのが、戦時中、政孝親父がウイスキーの呼称を「麦溜」にしたらどうか、とラベルまでつくっていたことだ。
当時、敵国の言葉を使ってはいけない、ということで野球の「ストライク」を“よし”、「ボール」を“だめ”と呼んでいたり、米国の地名などを用いた社名は日本語のものに変更させられたりしていた。そのため「ウイスキー」という表記も禁止されるだろうと考えて「麦溜」にしたようである。そうこうしているうちに終戦を迎えたため、わざわざ用意したラベルを使うことはなかった。

先日、竹鶴相談役に話をお伺いする機会があり、
「政孝親父は、「麦」の方はすぐに決めたが、下にくる字は2、3の案(餾など)があって、迷った末に、「サンズイは酒に繋がる」として「麦溜」にした」と、お話されていた。
その会には、ライブ関係者もいらしていて、
「能作家の方は、竹鶴政孝氏の「麦溜」のエピソードはご存じない」とのこと。

ウイスキー製造と能という、まったく違う世界に住む人たちが、60余の年を隔てて、ウイスキーに「麦溜」と当てたことに、偶然以上の縁(えにし)を感じる話だ。
私は能を一度も観たことがなく、新作能というものがあることも知らなかったが、モルトウイスキーを題材にした演目ということで、一度、「麦溜」を全編とおしで観てみたいと思っている。

大変僭越ですが、ニックネームはこの「麦溜」から拝借させていただきました。

#ニッカウヰスキー

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