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バーで飲もう! “みかん”事件篇

開店当初、カクテルにフレッシュジュースを使おうと、その材料の入手には結構苦労した。特にライムやグレープフルーツ(ホワイト)は大分市近郊なら容易に手に入るが、ここら辺では取り扱ってる店はなく、週に何度か買出しに行かなければならなかった。 

暫くして、近くの八百屋を紹介してもらい、ライムやグレープフルーツを注文することになった。5個単位から注文でき、価格も大分で買うより安いので大変助かっている。
当店では、フレッシュグレープフルーツジュースを使ったカクテルがよく出るので、当然グレープフルーツの使用量も多くなり注文の回数も増えてくる。

当店のカウンターの上には常時5個~6個置いている。その日も早い時間からソルティードッグやグリーンティークーラーなど、グレープフルーツジュースを使ったカクテルがよく出た。

カウンターの上のグレープフルーツが無くなり、足りなくなったので厨房の中の買い置きを取ってカウンター上の籠に盛った。

またソルティードッグの注文が入り、グレープフルーツを搾ろうと切ったのだが・・・ん???何かおかしい! 切れにくい。切った断面を見ると種が細く、異常に数が多い。手に取った時にも違和感を感じ、香りも全然違う。・・・みかん???・・・みかんだ!!! 
まさか? 1個だけ間違えて混ざってたのか? 2個、3個と切ってみるが、やっぱり“みかん”だ。

前日、八百屋に注文してグレープフルーツと思って購入した物は“みかん”だった。八百屋の奥さんも全く気づかず袋につめて、私も何の疑いも無く買って帰り、果汁を絞りカクテルを作ろうとしたものは・・・
食べて美味しいみかんだった。 なんと紛らわしい“みかん”だ!
しかし、大きさ、色あい、形とも“みかん”には全く見えない。
いや、今はそんなことはどうでもいい! 今入っているソルティードッグの注文と、これから閉店までの注文をどうしよう(汗)
グレープフルーツは最高に使える武器なのに・・・
想定外の出来事にパニックになってしまった。

とりあえず、今注文を受けたお客様に断りを言って、他のカクテルにしてもらう。 どうしよう! 紙パックでも瓶詰めでもいいからグレープフルーツジュースを買いに行くか、誰かに買ってきてもらうか・・・
そうしてる間に次の客が入ってきた。最悪の展開!

何とかしなければ・・・
!普段から好意にしていただいている洋風居酒屋の“TANTO”を思い出し、電話をする。“TANTO”の店長は快く貸してくれた。しかも、店には私一人しか居ないので、持って来てくれた。フレッシュじゃないけど、これでなんとかなる。助かった! 感謝感謝!

翌日、八百屋の若旦那から謝りの電話があったが、あの“みかん”は誰が間違えてもおかしくないし、普段からよくしてもらっているので、笑い話で済ませた。確認しなかった自分も反省である。

暫くはこの話題で盛り上がりそうだ。
“TANTO”の店長さん、ありがとうございました。
これからもヨロシクお願いします。

#BAR

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