現在樽詰時のアルコール度数は、何年熟成でリリースするのかという計画を事前に立てている場合を除くと、およそ63.5%。
なんで63.5%なのかと探っていくと意外と納得のいく理由が見えてきました。(回数にもよるものの2~3回蒸留でのニュースピリッツはせいぜいアルコール度数72%)
①他にアルコール度数を下げる理由がないなら、蒸溜所にとっては高アルコール度数で樽に詰めたほうが樽数も少なく、貯蔵スペースも少なく、管理も楽。
②高アルコール度数で樽詰した場合であればあるほど、40%を割るまでにかかる時間が短い。樽詰4~5年まで天使の分け前が大きい。
③樽質にもよるがアルコール度数50%~60%あたりで熟成するのが、糖分の生成増大、短鎖の炭化化合物の増大の点では有利。(水:エタノールの割合で熟成の深度が決まるとも)
*アルコール度数が高くなればなるほど、含有タンニン、含有固体成分、含有揮発性酸の残存割合は減少していく。樽木材から加水分解される糖成分量も減少、タンニン、揮発性酸の生成量も減少する。
これら①、②、③のバランスでちょうどいいところが63.5%という度数のようです。