2010年を振り返る記事を書こうと、あれこれ思いを巡らせていたのですが、ウイスキーについてももちろんまとめるとして、実は今年「とてつもない研究発表」があったことをお伝えしたいと思います。
人間にアレルギーを起こさせないようにした猫。
伝染病を蔓延させるために子孫を残せないようにした「蚊」。
食用に通常の数倍のスピードで成長する鮭。
砂糖水から軽油をつくる生物。
これらは全てすでに実用化され販売、利用されている遺伝子組換え動物(生物)の例です。皆さんの倫理観では「OK」ですか?「NO」ですか?
そして今年の初夏、すでにヒトゲノムの完全解析に成功しているクレイグ・ベンター博士が、土台こそ既存生物でありながら、遺伝子の一部組み換えの範疇を突き破り、「100%人工的に作り出したゲノム」を組み込んだ「細菌」を生産。さらにその細菌が自己増殖することを確認したと発表したのです。
これはこの世にまったく存在しない生物を、人間が人工的に創り出し、またそれが永代繁殖する時代になったということなのです。
先の遺伝子組換え、ゲノム移植技術は、アメリカで近年急速に発展して、オバマ大統領が全米の専門家を招いて今回の発見について「公開するのかしないのか」を決定しました。結果は発表となった訳ですが、その内容は権利関係も含めて非常に複雑で、年末になってようやく解説番組が放送されました。
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2970
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010022291SC000/index.html
上段はごく一部を編集した無料動画。
下段はクレイグ・ベンター氏の発表を含んだ有料動画です。
上段で興味をお持ちになった方は有料動画もご覧になる価値があると思います。無料動画は無難なところまでしか含まれていません。
ガソリンを作り出す生物、癌やHIVにならない体を入手できる時代が近い将来やってくるであろうといわれています。
一方、炭疽菌やエボラ出血熱といった病原菌を生産し続ける生物、兵器利用、テロ犯罪利用を前提とした遺伝子組み換えも同様の技術で可能です。
人工ゲノムの移植には「メチル化」という化学分野の基礎的手法が突破口になったと見られ、単純に注入しただけでは「起動」しなかったそうです。
また、生物の進化そのものが偶発的な遺伝子の組み換えであった可能性が高くなり、個々のユニットが自発的に発展したという従来の考えが否定され、ゲノム(ソフトウェア)の交換が繰り返された結果だということが判明しつつあります。
詳細な研究発表はTEDでの講演がオススメです。大部分に日本語字幕を表示することができます。
http://www.ted.com/search?q=Craig+Venter&x=0&y=0