【豆】香水に学ぶウイスキーの香りの変化と強さ
久々にこのコーナー復活です;;
ウイスキーが瓶の中にあり、液面が安定した状態。これを気液平衡状態にあるといいます。
ウイスキー好きの方は温度変化によって液面が上がったり下がったりすることをご存知ではないでしょうか。
基本的に化学平衡と同じで、液体から気体になる(蒸発、気化)反応と、気体から液体になる(凝縮、液化)反応の速度が等しくなっている状態のこと。結果、液体と気体の量が変化しなくなっているように見える。ただし、密閉空間内での平衡を一般的には指す。(部屋の中に水を置いておいた場合、多量の水や時間が気液平衡に必要となるから) ただし、溶液には蒸気圧降下が起こるために、一概に気液平衡の状態は同じにはならない。
François-Marie 「混合溶液の各成分の蒸気圧はそれぞれの純液体の蒸気圧と混合溶液中のモル分率の積で表される」 すなわち気液平衡に達すると成分iの蒸気圧Piは ここで、Pi*は成分iの純液体での蒸気圧、χiはモル分率である。 全蒸気圧 任意のモル分率においてラウールの法則が成立する溶液を理想溶液という。理想溶液では各成分は互いに分子間力を及ぼさない。理想溶液に比較的近い溶液としては、しばしばベンゼンとトルエンの混合溶液があげられる。一般には分子構造の似た物質同士の混合液が理想溶液に近いとされる。 |
ウイスキーの場合アルコールや水分にたくさんの成分が溶け込んでいます。
ウイスキーのボトルの中で密閉されていますので(仮定ですが;)、ボトル内の気体との関係において気液平衡状態です。
これを開栓して飲むわけですが、開けているさなかはボトルの中での平衡状態が破れ、平衡を保つべき対象はその室内へと拡大します。
ボトル1本では通常ありえないことですが、ウイスキーは室内との飽和蒸気圧に至るまで平衡を目指してさらなる揮発を始めます。
私たちは揮発するアルコールや水分とともに溶け込んだ香味成分を嗅ぐわけですね。
そこでなのですが、大変参考になるデータを見つけました。
それは香水についての考え方です。
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ウイスキーの香味成分の濃度はボトルごとにも異なりますし、香水に用いられるアルコールの度数が一般条件下で90%程度だと考えると、50%前後のウイスキーとは必ずしも上記表は一致しません。
では次の概念です
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いかがでしょうか? ウイスキーにおけるデータではありませんので曖昧なことは申し上げられませんが、実体験から思い当たるところが多いのではないかと思います。
ワインのようにアルコール度数が低く、アルコール以外の成分が大半を占める液体であれば、デキャンティングなどの方法で揮発を促進してあげる必要もあるでしょう。
しかしながら40%を超えるアルコール度数を誇るウイスキーでは、余程のことがない限り同様の方法をとる必要はないと思いますし、3段階の香りの変化を感じ取るためにも待てるのであれば開香過程を経ずにグラスに開けて変化を楽しむのがいいと思います。(もちろん好き好きです。例えばミドルだけでいいというのも嗜好の一つだと思いますので決してそれを否定しません。)
気液平衡の概念でいいますとグラスに移したあとアロマキャンドルの代わりに自らの手でグラスを覆い、体温で温めることで変化を早めることが出来ると思います。
私個人でいうと、これまで手で覆いながら飲んで10-20分もかければ味わいきれなかったというウイスキーにであったことはありません。40-60%のアルコール度数で30ML程度のウイスキーと室内大気ですから、それは放置しておくだけでもどんどん気化します。むしろ早すぎるのでテイスティンググラスで遅らせているわけですよね。グラスは本当に大事です。(もちろん開栓後時間がたって飲み始めの香味のファーストインプレッションが変化したなということはたくさん経験があります。)
ウイスキーの香りも3段階で変化を考えていくと楽しいですよね。
**ここでは香りのことにしか触れていません。味覚でいいますと時間と共に酸化されやすい物質から味がなくなって行き、比較的酸化に強い甘みなどが残り、ピークをつけて無味無臭へと変化していくと考えられます。。。
#ウイスキーの化学