【 ウイスキーの化学 うまいウイスキーとは何か? 第2回 】
第1回を終えてみて、今後の展開をどうしようかなと考えています。
モルトを愛するような「こだわり」のある方々ならばきっと理解していただけるであろう話なんですが、ちょっと楽には読めないなという内容まで突っ込むか、あっさり行くべきか。。。
「こうすると美味しいと感じるよ!」
「なんで?」
A 「なんででも そうだから」
B 「この成分があると神経伝達物質がこういう風に働くから」
A B どちらと答えるかによって、説明する内容が異なります。
もちろんここはBであるべきだろうと思います。
ただ懸念しているのが、最近の芸能人の薬物裁判報道の影響です。
いや むしろそういうことがあったから書きたくなったのかもしれません。どうせなら正しく理解して欲しいのです。
というのも
極論してしまえば、人間の心の動きは脳の動きです。そこには神経伝達物質が介在します。
美味しいも、まずいも、好きも、嫌いもみんなそうなのです。現在では本人の遺伝子によって特定の神経伝達物質が出やすい、出にくいかまでわかってきました。
美味しいと感じるものを作りたければ、美味しいと適切な神経伝達を促す成分にすればいい。それも害がなく自然であることが当然相応しいわけです。
(人間にはあらゆる感情に介入することが可能な「理性」の存在も忘れられません:詳しくは次回以降に)
しかしながら不十分な形で神経伝達物質の話をしてしまうと、味覚の話を超越し、「なんでもどんどん出るやつ使えばいいじゃん」と安易に考えてしまいがち。
これが深刻な状況を生んでしまいます。
最悪な例が覚せい剤などの違法ドラッグ。言いたくはないのですが、説明しなくてはなりません。
必ず知らなくてはいけないのは、神経伝達物質は「作用と反作用」のように、出し過ぎても出なさ過ぎても深刻な症状になってしまうということです。そして違法ドラックとされる物質はそういう状況をあえて作り出す物質なのです。
つまりは因果応報。「今後起こりうる深刻な事態」の代わりに「快楽を覚えさせる」わけです。
それじゃ限りなく「美味しい食べ物、飲み物は体に悪いってこと?」
申し訳ありません。ちょっとその答えをお話しするためには時間をください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/覚醒剤
覚醒剤(かくせいざい)とは、広義には脳内を刺激させる中枢神経刺激薬である。中枢神経刺激薬は、脳神経系に作用して心身の働きを一時的に活性化する働きを持つ広義の向精神薬の一種で、ドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に酷似しており、嗜癖・依存に誘発された精神病は、重篤になりやすい。日本において狭義には覚せい剤取締法で規制されている薬物であり、規制対象としての覚醒剤は「覚せい剤」と記載される(『醒』は現在常用漢字外) |
神経伝達物質 |
放出過剰 |
放出不足 |
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ドーパミン |
ドーパミンはアミノ酸のひとつ、チロシンから作られるカテコールアミンの一種。元はノルアドレナリン 集中力、やる気などの精神機能を高め、運動機能に関係する ドーパミンは脳を覚醒させ、集中力を高めたり、ストレスの解消や楽しさ心地よさといった感情を生み出す働きをもっていま タバコ、お酒はドーパミンを増やします。ドーパミンはドーパミンレセプター(受容体)にくっついて情報として次の神経系につたわる |
統合失調症(精神分裂病)、トゥレット症候群はドーパミンの過活動が原因と考えられている ドーパミンが過剰に放出されると統合失調症(幻覚、幻聴、パラノイアなど)トゥレット症候群(意識しないのに顔や頭が勝手に動く、 |
物事の関心が薄らぐなどの精神機能の低下、運動機能の低下、パーキンソン病 小さい子供が大人からみたらとてもささいな事でも夢中になれるのはドーパミンが脳内に十分に放出されているからです。 |
煙草とお酒も並列に語られていますが、当然覚せい剤など危険度があまりに大きくまさしく割に合いません。
そんな大げさな。自分は大丈夫と思うと思うのですが、違法ドラッグとされている物質はやったら最後、理性でコントロールすることは不可能だと考えてください。そのうち深刻な症状が待っています。
もちろん今後はこういった人間の本質部分を味覚を通じて上手に安全に引き出す方法を模索していきます。
これは人間関係でも同様です。「何かが起こった。」「このように脳が動いた、神経伝達物質がこのように働いた。」「それが心地いいのか悪いのか。」「悪くならないためにはどうしたらいいのか?」
この事実を知ることで人生観が大きく変わるかもしれません。
次に身近なところで「脂っぽいラーメン」の話をさせてください。
中華料理店症候群(ちゅうかりょうりてんしょうこうぐん、Chinese Restaurant Syndrome(CRS))あるいはグルタミン酸ナトリウム症候群(グルタミンさんナトリウムしょうこうぐん、Monosodium Glutamate Symptom Complex(MSGSC))とは頭痛、顔面紅潮、発汗、顔面や唇の圧迫感などの症状から構成される症候群である。 俗にはグルタミン酸ナトリウム(MSG)が原因とされるが、一連の短期薬理試験の結果からはMSGとは関連は否定されている[1]。症状のうち、稀であるが重篤なものとしては、喉の灼熱感、胸の痛み、動悸、息切れなどがこの症候群の特徴として挙げられている。大抵の場合は軽度の中華料理店症候群は後遺症は無く回復する。 MSGを単一の原因とする説が広く流布しているが、医学的には食事後に発生するいろいろな原因の病的症状の総称と考えられる[2]。中華料理店症候群の症状を抑えるには、MSGの多い食事の前に通常量のビタミンB6の投与が有効とされる[3]。 グルタミン酸ナトリウムとの関連は次のようである。 1960年代の発見以来数十年以上経過した頃から、神経生理学の知見から、うま味物質であるとともに神経伝達物質でもあるグルタミン酸に注目が集まった。 神経生物学者のスティーブン・ローズ(英語)は[7] 「一般にアミノ酸のグルタミン酸は脳における神経伝達物質である。…それと同時にグルタミン酸は特に中華料理や日本料理の風味をつかさどっている。しかし、そういう食事を大量に摂ることで大脳のグルタミン酸興奮性シナプスの過剰興奮が発生し神経毒として作用するかもしれない。」 という仮説を提言している。 この様にグルタミン酸ナトリウムが中華料理店症候群であるという世間の見識がある一方、他の研究結果ではMSGが中華料理店症候群と関連があるという見識と合致した研究結果はない[8]。二重盲検法によるプラセボを対照としたMSGの大量投与試験では中華料理店症候群は発生しなかった[5][9][10]その上、料理にMSGを加えた場合でも症状は発生しなかった。 科学的検証の結果は中華料理店症候群は一つの原因によるというよりは、食事後に起こる様々な病的症状につけられた呼称であり、症状の原因は事例ごとに異なっていると考えられる[1]。 例えばKenney その後、JECFA(ジェクファ、国際連合食糧農業機関 |
第3回に続く
【追記】
マイナスな話ばかりでしたので、今後触れていきたい「ここまで来ているのか」という遺伝子や脳機能と「性格」を関連付けた最新の理論
「クロニンジャーのパーソナリティ理論」
http://www.nttdata-getronics.co.jp/profile/lits/lits05_01.html
ぜひ一度ご覧ください。
シナプス前細胞(A)から後細胞(B)への神経伝達物質伝達(from Wikipedia)
①神経伝達物質が詰まったシナプス小胞
②シナプス間隙を拡散する神経伝達物質
③後シナプス細胞の受容体
④神経伝達物質のトランスポーター
#ウイスキーの化学