【ビル・ラムスデン博士、アードベッグとモーレンジの未来について語る】
先日質問を募集したとおり、14日ビル・ラムスデン博士が集まった質問や2つの蒸留所の直近計画の一端についてお話されました。
以下要約ではありますが、速報いたします。
“Blasda”
は本質的に若い“Kildalton”だった。
→ ・Ardbeg
1980-2004 ‘Kildalton’ (57.6%, OB)
2004
アードベッグは、新しくKildalton相当のものをつくり、7年の熟成を経て瓶詰めする際に“Blasda”
という名前をつけたのです。
アードベッグはストックしている1970年の樽から、来年・または再来年に、「2つの特別なリリース」を行うでしょう。
新しいアードベッグCorryvreckenは、コミッティー向けの同名ボトルとはバッチが違います。
→ コミッティー向けボトルは1stフィルのフレンチオーク樽を用いたもので、(新しいものに比較して)より革を噛んだようなフレーバーがあった。
アードベッグの熟成樽の80%はアイラ島で、20%はメインランド(本土)で保管されています。
→メインランドで行われるTENの瓶詰めのため、9年の熟成のあと移送している関係です。
博士は、アイラ島での熟成では相当な「maturation
loses(天使の分け前・熟成損)」が発生することに懸念を抱いており、近日アイラ島に新しく熟成庫を建設するにあたって慎重に研究を重ねている。
今後アードベック10年熟成は、”Renaissance”と同じスタイルでリリースしたいと思っています。
→Ardbeg
1998-2008 ”Renaissance” (55.9%, OB)
もちろんカスクストレングスでというわけにはいかないけれど、同じクオリティをもった上質の木材を使った「ファーストフィルのバーボンカスク」で熟成したものを使っていきたい。
アードベッグはヴァッティングしている樽のサイズが、モーレンジに比べて小さいので、比較的リリース毎に変化が大きいのです。
アードベッグにとって最もふさわしい熟成年数は? → 一般的にいえば「15年から17年」でしょう。
→博士はアードベッグ17年(ファーストリリース)をとても愛していました。
アードベッグ蒸留所は、まだ1970年代に蒸留された樽を持っている。(インタビュアーは1960年代の樽も持っているのではないかという印象を受けた。)
アードベッグ蒸留所もまた近年のアードベッグ・モルトの需要急増を受けて、ブレンダーたちと掛け合い、また個人で樽を所有している人たちと掛け合って、樽の買戻しを行っています。
とても示唆に富むインタビューでした。ここまで誠意をもってビジョンを語れるビル・ラムスデン博士に尊敬の念を抱かずにはいられません。ほとんどすべてがアードベッグ関連というところをみても、どれだけ同蒸留所を重要視し、関心を持っているのかが伝わってきます。
#アードベッグ