理想のBARとは? それは可能か? 第5回
ウイスキー業界はそのサイクルからか、今になって世界不況の影響が最もきつくなっているようです。どうすればその状況から脱出できるでしょうか。
皆がウイスキーにお金を使うしかありません。ところが一度景気が悪くなるともちろんそれは難しいことで、皆はあらゆることにお金を使わず、万が一に備えて貯蓄をしようとします。自然と金融機関にお金が集まります。それでも消費が低迷すると、当初企業はお金を金融機関から借りてでも会社を回そうとしますが、金融機関自身も回収の見込みがなければ貸すことは出来ず、おのずと限界がやって来ます。そこで働く人はますます得るお金が減ってしまうという顛末です。金融機関は運用のために新たな金融商品を開発しますが、どんどん現実世界とかけ離れ、リスクが増してしまいます。
第二回で触れましたが、景気が悪く目先の利益に走らざるを得なくなったBARはどのような状態になってしまうでしょうか。お客さんが少なくなります。そこで一人当たりの単価を上げざるを得なくなります。回収にあったお客さんはなかなか次回足が向きません。仕入れるボトルの単価が下がります。魅力的なボトルが少なくなり、お客さんの足が向きません。すると単価の低いボトルさえ新たに仕入れることが出来ず、既存の在庫を捌いてからと考えます。お客はそれでは満足できません。良くないスパイラルです。
日本のBARに提言したいのは、今の現状は「潜在的に酒の需要が増した状態」だと認識して頂きたいということです。ぜひ刺激していただきたいと思います。きっとすぐに花開くはず。
みんなつらいことで頭がいっぱいになる。少しでも良くない形での頭の回転は止めたい。ストレスを解消したい。忘れたい。
そんなときこそ相応しいのがウイスキーだと思います。
理想論かもしれません。でも妥協を選ぶ日常から離れて、想像を上回るお酒を提供してくれるBARがあってほしい。
オーダーにおいても信頼を受けお勧め先行でいけるバーテンダーさんであれば、1本のボトルを消費するために必要なお客さんは1ショット換算で約20名。その人たちが平均3杯飲むのであれば、20名の熱心なお客さんが来るローテーションごとに3本回転していくことになります。間違いなく活気が出るでしょう。できれば2週に1回、毎週1回と、次第にバーテンダーさんも士気が向上するのではないでしょうか。
できれば自分のように5杯は飲む人間向けに選択肢が多いと助かりますが、まずは平均オーダー杯数のボトルが短期間に回るためにも20名のお客さんを満足させてリピートさせて欲しいと思います。きっと良いスパイラルに変わるはずです。
きっとこういう時についたお客さんは本物だと思います。ぜひ日本のBARを活気付けてください。
#理想のBAR