先日の定休日に、ハモン・イベリコで出汁をとった夏限定のカレーの具材を探しの旅へ地元に帰って参りました。
以前は県内の生産者さんへ伺いながら料理もお出しておりまして、静岡へ来てからはあまりやらなくなってましたが、お客様からのご要望が多くなり、出来る限りの事はしたいなとそんな風に考え始めたらこの性格・・・やはり火がつきます。(笑)
そして、向かった先は御前崎市
以前から鶏肉のアミューズを考えていまして、静岡市では有名な駿河シャモを使ったオードブルも考案した事がありました。
しかし、最近は他のお店でもこの駿河シャモを提供されるので他の地鶏は無いものか?と調べておりました。
そして行き着いた先は、「遠州一黒シャモ」
鳥工房 かわもり様に連絡をとりまして当日でのアポイントではありましたが快く承諾して頂けました。
この日は、本当にいい天気で向かう道すがらでの青い海が眩しく思わず「水着を持ってくれば良かった」って感じるほどです。
近くまでナビで難なく到着したのですがその場所を発見する事が出来ず、仕方が無いのでお忙しいところ申し訳無かったのですが、河守さんに迎えにきてもらいました。
黒く日焼けをした河守さんが、鶏舎につくなり案内をしてくれたのは調理室。
ここで実際にサンプルを食べさせてくれました。
「食べてもらうのが一番だからね」と。
そしてはじめに出してくれたのは、ささみ肉の刺身
「醤油と塩とあるから好きな方で食べてね」と河守さん
ですが、本能的に塩で頂く事に・・・すると「いい料理人だね」と他の試食用の調理をしながらぼそっとおっしゃりました。
電話ではバーテンダーですがいいですか?と言ってありましたので、少し困惑をしてしまいましたが、素直にそのお言葉は嬉しく胸に響きました。
それはさておき、ささみ肉を一口で頂く事に。
すると、口の中に入れた瞬間に思わず目を見開いて驚愕の味わいが舌の上で爆発しました。
うまみ、甘み、香り、すべてにおいてはじめて食べる味わい・・・なんだこれ・・・!!
「美味しいでしょ?」と次に出してくれたのは鶏むねのタタキ。
鍋に油を引かず皮目から焼いた物。
油をひくと余分な香りがついてしまうから・・・と河守さん。
実は焼いている時から、今までかいだ事の無い鶏の焼香がしていたのです。
その時点でも、なんなんだ・・・?これ?と興奮がおさまらなかったのです。
そして頃合いで流水で締めて頂いた物を。
こちらも同様に塩で頂くことに。
鶏皮の旨味が・・・なんというジューシーさとコク・・・思わず「美味い!!」と叫んでしまいました。
そんな私の姿をみて、河守さんが次に出してくれたのは「大サービスだよ今日は!」
と冷凍庫から・・・あれを生で・・・。
あえて、写真にはあげません・・・が、フォアグラと言えばいいでしょう・・・口に入れた瞬間・・・参りました・・・。言葉が出ません・・・涙が出ます・・・。
一通りの部位の試食をさせて頂き、河守さんとこの遠州一黒シャモにたいするこだわりと生産者としての考えを聞かせて頂く事が出来ました。
まず、餌について。
河守さんの所で与えられている飼料は、相良で栽培されている米を飼料として与えられております。通常はトウモロコシが多いのですがこれにはびっくり。
お米で飼育してあげると、私たちの舌に慣れ親しんだ旨味が生成されるとの事。
そして、焼いた後のフライパンを見せてくれると通常は脂の色が、茶色か黄色になる事が多いのですがこの遠州一黒シャモの焼脂は、透明なのです。
これも、お米を飼料としているからなのだと河守さんに教えて頂けました。
そして、スーパーで売っている通常のブロイラー(若鶏)は生まれてから50日程度で出荷されるのですが、この遠州一黒シャモは生まれてから130日〜170日という長い期間をかけて出荷されます。
飼育の間でも化学薬品なども使わず内蔵も生で食べれる”安心、安全の味のよい”まさに河守さんが目指される3Aの最高級の地鶏なのです。
そして、この言葉で河守さんの生産者としての姿勢と考え方に惚れてしまいました。
「私は人を感動させたいんだよね。感動をさせる鶏を作りたい。まだまだだけどね。」と笑顔で僕にそう言ってくれました。
私も曲がりなくとも職人であり、作り手。常にそう感じお客様にお愉しみ頂きたいと考えて参りました。 が、感動をさせていたのか?感動をさせる為の仕事をしてきたのか? そんな事を思わず考えてしまいました。
鶏肉の味わいの素晴らしさは言うまでもなく、この河守さんの人柄と信念に惚れてしまい未熟な腕ではありますが、取り扱わさせて頂く事になりました。
・・・がカレーには、使いません。もったいなさ過ぎます。。。
次の素材を探して参ります・・・。
ちなみに非売品の卵を貰っちゃいましたw