BARって禁止事項が多いと行きにくい・・・。
そんなお声を先日いただきまして、少し考えさせられてしまう事がありました。
BARの禁止事項っていったい何なのか?
カウンターの中にいる私達にとっては理解している事であっても、はじめてBARにお越しになられた方には、全くわからないと思います。
そもそもBARの禁止事項というものは存在しておりません。
といえば楽なんでしょうけど、静かにしなければならない・・・とか団体で来るのは駄目とか、携帯電話のこととか、会話の内容とか。
こういうことは、本来大人としてのモラルの範疇でありわざわざお店側が、注意を促す事ではないとは思います。
ですが、残念ながら今の社会ではこういうことが欠けていることも事実だと思います。
なぜ「静かに」というのか?
お店の雰囲気作りはお客様側に委ねられる割合が7割です。
これはBARに限らず、どこでも同じ事なのではないでしょうか?
まえにどこかの国のニュースで、オーケストラの演奏中に携帯電話がなり、指揮者が演奏を中断したという事がありました。
私は、この指揮者に対して敬意を感じました。
先日、夫婦で久々にクラシックコンサートに行ってきたときに感じたのですが、コンサートというのは演奏者や指揮者達だけが作り出す、音の時間だけではなく、聞き手の私達との融合があって、はじめて素晴らしい音楽の時間が生まれるのだと。
音楽は文字通り「音を楽しむ」という事だと思います。
では、BARとは?
バーと一言で言っても様々なタイプのお店がありますが、
店主が作り出す個々のこだわりの空間作りや時間作り。
賑やかに楽しむのがコンセプトのお店、静かにBARという空間に身をゆだねることの出来ることがコンセプトのお店。
携帯電話の使用も、静かにする事も、団体で来ないということも、許される場所と許されない場所があってもいいのではないでしょうか。
どちらもお酒を楽しむ事は出来ると思います。
ですがBARは、非日常的な空間と昔からキャッチコピーのように言われ続けております。
静寂な空間と時間というのは、他の酒場には少ないとおもいます。
扉を開けた瞬間、騒音に近いBARの店内であったならば、私は確実に扉を閉めてしまいます。
忙しい仕事のなか、自分の時間を大切にしたいと思ってわざわざおいでいただく訳です。
せっかく来たのに・・・と感じて欲しくはありません。
だからこそ私の場合は、あまり度が過ぎますと声を落としていただくようにお願いにあがります。
お客様のご協力があってはじめて、BARの非日常的な空間と時間が出来上がるものだと思います。
基本的にお酒を飲むという行為は、愉しむことであることに変わりはありません。
BARの禁止事項というのはありませんと私は初めに書きました。
なぜそう書いたかというと、BARという空間では「人が人を尊敬をし、互いの優しい心を感じる場所」であると信じているからなのです。
そう思うことが出来たら、きっとBARの禁止事項ではなく、そういった時間を作る為にするべき事と気がつくのではないでしょうか?
バー・テンダーとは、バーの世話人ともいわれますが、私は「バー・テンダーは、バーにいる優しい心」だと考えております。
皆様に等しく、心落ち着ける空間と時間作りをしていきたく思います。
#バーテンダーの独り言