山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2014.1.19 スタンドバーにて
クライネリッシュはこの会のメンバーの間でも人気の蒸留所であり、話題に事欠くことは無く、蒸留所が明かされたあとは、いつも大いに盛り上がるのである。
またリリースされるモルトも少なくないので、結構な頻度で登場しており、カリラの7回に次ぐ5回目となっている。
そんなクライネリッシュ蒸留所ではあるが、毎回コメントしているように、ややヌカの香りがあり私はマイナスイメージを持っていた。しかし今回は私のメモにではなく、メンバーの口より「ヌカ」の話が出ていたので、あながち間違った見解ではないようだ。
当然マイナス面を上回る個性が無ければ、人気蒸留所にはなり得ない。幾種ものフルーツ、バーボン樽由来のキャラメル香やバニラ香、わずかなピート。そんな素晴らしい香りや味わいがこの蒸留所の個性であろう。
さて、今回の5本を紹介することにしよう。
*** [No.1] ヘップバーンズ・レゾリューションズ クライネリッシュ 1988-2013 48.8% ***
(香り) トップノートはドライであり、北国フルーツがほのかに香る。時にミントの香りも。気温が低いせいか香りの立ちが遅い。 シャープな酸味に軽いピート、しばらくするとまったりとした厚みも感じられるようになる。
(味) 幾重にも重なるミックスフルーツ。奥にはいがいがした個性、軽いピートによるものかもしれない。
*** [No.2] スコッチシングルモルトサークル クライネリッシュ バーボン cask no.3843 1/186 51.8% ***
(香り) やさしい甘さがまず香る、そのあとミントの香りと北国フルーツ、ハイランドモルトか。酸味も心地よい。しだいにまったりとしたボディを感じられるようになる。 奥にはわずかなピート香、しだいにエレガントな香りが強くなる。
(味) フルーツの競演、次から次へと香りが出てくる。しかし意外にドライに感じられる。わずかなピート、味の数は多くは無い。
*** [No.3] エディションスピリッツ クライネリッシュ 1989-2012 22 52.5% ***
(香り) トップノートはキャラメルである。まったりとした、ふくよかな香りが心地よい。酸味がまったり感とバランスを取っている。 しだいにキャラメルは消えて、替わりに酸味が強くなる。軽いヌカの香り。
(味) キャラメルと南国フルーツ、適度な熟成を感じる。しっかりとしたボディで、加水をすればフルーツの数は倍増する。
*** [No.4] AULD ALLIANCE クライネリッシュ バーボンホッグスヘッド 15年 53.6% ***
(香り) トップノートは灰くさい香り、ただしいつの間にか消えていく。おおらかなキャラメル風味、バーボン樽の個性か。わずかにトースティで香りのアクセントとなっている。 ときに砂糖水を思わせる香りも、若さ由来の物なのかもしれない。しだいに酸味は増加していく。
(味) しっかりとした酸味、フルーティだがドライ。味の数は多くは無いが、ウッディな含み香がこのモルトの評価を上げている。
*** [No.5] ヘイデンヘッド クライネリッシュ 17年 57.3% ***
(香り) こげたゴムの香りが強い、いおう、ひねた香り、タクアン香。典型的なシェリー樽熟成のものだ。けっして良い出来ではない。
(味) ニューポットと感じるほど熟成が進んでいない。こげたゴムの個性とトースティ感は強く、味わいを支配している。