山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2013.5.26 スタンドバーにて
今月のお題は、「ローズバンク」である。
ローランドモルトをこよなく愛するモルト飲みには、たまらないブランドであろう。いかにもバラが咲き乱れ、華やかな香りが立ってきそうなネーミングである。
しかし過去にテイスティングしたローズバンクは、必ずしもブランドイメージ通りのものばかりでは無かった。 ハウススタイルとしては、ドライでスパイシー、バーボン樽熟成に由来するキャラメル香とバニラ香が基本となり、わずかにピートを乗せる。 名前とは裏腹に繊細でエレガントなイメージではない。
さて、今回の5本であるが、フルーティが前面に出てスペイサイドモルトを思わせるもの、シャープでほのかにフルーツが香り北ハイランド系を思わせるもの、最後までローランドとは思えないローズバンクであった。 ただしドライ、バーボン樽、バニラというキーワードはしっかり持っていたのは事実である。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] オールドモルトカスク ローズバンク 1/330 1980 22年 50% ***
(香り) トップノートはフルーティ、桃系のフルーツが香る。しだいに硬質な金属を思わせる香りが立ってくる。ややドライな印象。 しばらくすると香りは落ち着きをみせ、上品で甘いフルーツがいくつも出てくる。また奥には熟成香も感じられる。
(味) フルーティ、フルーティ、幾種ものフルーツの競演だ。わずかにピートを感じる、さらには微量のパフューム。甘さが心地よいモルトだ。
*** [No.2] BBR ローズバンク cask no.606 1990-2008 52.8% ***
(香り) トップノートはフルーティ、軽いフルーツだ。わずかにピート香。しだいにベリーの香りと甘いバニラ香が広がる、バーボン樽熟成か。
(味) 一転して味わいはドライ、ピリピリ感も強い。ピートらしき風味も見受けられる。
*** [No.3] SMWS No.25.15 1990-1999 9年 60.3% ***
(香り) エステリーな香りがまず立ってくる、しだいに木の香りがほのかに立つ。しばらくすると弾けるような、しゅわっとした酸の香りが広がる。わずかな熟成感が心地よい。
(味) かなりドライでアルコール感も強い、ただし旨み成分が多く感じられる。
*** [No.4] オフィシャルボトル ローズバンク bottle no.02241 1981-2007 25年 61.4% ***
(香り) トップノートは木の香り。香りの立ちは遅くドライに感じられる。しばらくすると甘いバニラの香が立ち込める。バーボン樽の個性か。
(味) 香りに同期するようにドライである。奥にはわずかにウッディな渋味を基調とする熟成感も。基本的にはフルーティ。
*** [No.5] キングスバリー ローズバンク シェリー cask no.1441 167/214 1992 14年 55.2% ***
(香り) トップノートはしょうゆの香り。しだいに和の香りは弱くなり、エステリーな香りと甘いバニラに包まれる。ただし香りの数は多くない。
(味) まず渋味を感じるが、すぐさま湿気た味わいに支配される。南国フルーツも感じられるが、湿気たコットンも同時に口に含んでいるようだ。