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コニサーズクラブ(11/2/20)テーマ「キャパドニック」

キャパドニック山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。(山崎さんは2月は欠席され、その後にブラインドテイスティングされました)

モルトの会、テイスティングノート

2011.2.20 スタンドバーにて

 今月のお題は、「キャパドニック」である。

 かなりマイナーな蒸留所ではあるが、あのグレングラントの第二蒸留所である。

 グレングラントといえばシェリー樽熟成の長熟ものが有名で、その色はたいへん濃い。
 しかしただ濃いだけのシェリー樽熟成のものとは違い、焦げたゴム臭は感じられないほどに押さえられ、こくのあるフルーティーさを持ち合わしている。

 そんなグラントのセカンドではあるが、まったく個性の異なるモルトを出してくる。良く言えば通好みの枯れた味わいで、どこか古き時代を感じさせる渋みを持ち合わせている。 主役がいれば影に隠れてしまうような、バイプレーヤー的な印象とでも言っておこうか。だがいつまでも変わらぬ個性を醸し出し続けている、そんな味わい深きモルトではないだろうか。

 さて、そんなモルト5本を紹介しよう。

*** [No.1] ダンカンテイラー RARE AULD キャパドニック 71/205 1970-2009 38年 45.9% ***

(香り) まず感じるのは、香りが薄いということだ。若いわけでは無いので、熟成のピークが過ぎているのかもしれない。
 ミントやハッカの爽やかさが香る。しばらくすると香りが開いてきて色彩感豊かに変化してくる。

(味)  古さを感じさせる渋みが味わえる非常に心地よいものだ、60年代に蒸留されたモルトによくある個性である。シャープなフルーツの味わい。

*** [No.2] ダンカンテイラー オクタブ キャパドニック cask no.417450 1972-2010 37年 46.4% ***

(香り) 香りの立ちが遅く、最初はなかなか香ってこない。しだいにエレガントな酸味とフルーツの香りに満たされる、フルーツの種類は多いが控えめな香りである。
 さらに時間がたてばキャラメル香も感じられるようになる。

(味)  フルーティーではあるがドライである、枯れたイメージ。スパイシーな一面もある。とがったウッディさがフィニッシュで感じられる、もちろん良い意味でのものだ。

*** [No.3] シエルダイグ キャパドニック cask no.8097 1977-2007 29年 50.9% ***

(香り) ややいがいがする、軽いピート香かもしれない。フルーティーで甘い香り。しだいにまったりとミルキーな印象に変わってくる 。

(味)  フルーティーな印象。いくつものミックスフルーツであるが、それぞれの香りは控えめでバランスがとれて口にひろがる。
 上質な渋みが感じられ、長熟であることを予感させる。ただし味の数はそれほど多くない。

*** [No.4] エイコーン ザ・モルト・トリビューン キャパドニック 1972-2009 37年 52.4% ***

(香り) 非常に爽やか、あえて言えば高級なラムネの香り。秋の青空のような澄んだ香り、非常にフレッシュである。しだいに軽くはあるが熟成香が感じられるようになる。

(味)  まずはフルーツが口に広がる。しだいに熟成をともなう、渋み、苦味が感じられる。甘さが無いわけではないが、シャープなフィニッシュだ。

*** [No.5] デュワラトレー キャパドニック バーボン cask no.7339 1/234 1980-2006 25年 53.1% ***

(香り) トップノートはヌカ臭い香り。しだいにネガティブな香りは少なくなっていくが、奥にはモルティな香りが感じられる。

(味)  トースティな含み香、やや単純な味わい。しだいにフルーツが何種類か出てくるが、やはり味の数は多くない。

#Connoisseurs Club #Tasting Note

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