山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
今月のお題は、「リトルミル」である。
これでますます蒸留所を当てるという行為が難しいことが分かってくる。
リトルミルといえば、「濡れたダンボール」や「かびくさい」といった形容がすぐに出てくるくらい特徴的なモルトで有名である。実際スタンダードなオフィシャルボトルを飲んでみると、そんな味わいに間違いは無いと感じるだろう。
ところがどうだ、今回テイスティングした5本は、いずれもそんな印象は少しも感じられないのである。若さに起因する濡れたダンボールにどころか、枯れた熟成感がそこはかとなく漂っているのである。
オフィシャルボトルで、たいへん損なイメージを持つ蒸留所ではあるが、今回は期待しつつテイスティングノートを読んで頂きたい
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] スコッチモルトセールス リトルミル ディスティラリーコレクション 1977-2004 49.6% ***
(香り) トップノートはエレガント。しだいにミントの香りが立ってくる、たいへん爽やかな香りだ。心地よい酸味が印象的。
(味) フルーティではあるが、意外とドライ。しばらく味わっていると熟成感が感じられるようになる。ウッディな味わいが素晴らしい。軽いピートも感じられる。
*** [No.2] エクスクルーシブモルト リトルミル cask no 166 1/251 1991 16年 53.8% ***
(香り) ミルキー、キャラメルの香りも、それでいてスパイシー。しだいにさまざまなフルーツが登場してくる。酸味がたいへん爽やか。奥にはバニラの香りが見え隠れする。
(味) たいへんドライである。注意深く味わえば、そこはかとなく熟成感が漂う。ウッディな熟成感だ。
ドライと関連するが、味の数はそれほど多くない。
*** [No.3] ゴードン&マクファイル リトルミル スピリット・オブ・スコットランド 1985-2004 19年 55.2% ***
(香り) キャラメルの香り、バーボン樽熟成の個性か。ミルキーの香りも。しだいに酸味が立ってきて爽やかになる。それとともに隠れていた熟成感が顔を出す。
さらに時間がたてば、香ばしいシェリー樽の個性が出てくる。やや硫黄の香りも。
(味) 典型的なシェリー樽熟成、香ばしさは十分。焦げたゴムの一歩手前。
*** [No.4] SMWS(スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)No.97.11 リトルミル 1990-2008 18年 56.0% ***
(香り) トップノートは硬い印象。かなりドライ、かつ香りの立ちが遅い。しばらくするとそんな印象を覆す熟成感に包まれる。酸味も心地よい。
さらに時間をおけば、たいへん上質のフルーツが香ってくる。またフルーツの数はたいへん多く、かつ上質のフルーツである。
(味) まずフルーティーな味わいを感じる。しだいに熟成感が広がってくる、ウッディな味わいが心地よい。
以下は2008.06.29のSMWS試飲会における、97.11のテイスティングノートである。あまりのコメントの違いに驚いている。
(香り) 非常にシャープでスパイシー。アルコール感が強い。若草の青い香り。
(味) やはりアルコール感が強い。濡れたダンボールを連想させる。
*** [No.5] ケイデンヘッド リトルミル バーボンホッグスヘッド 1989-2006 16年 59.7% ***
(香り) 香りは硬く、かつ弱い。しだいにまったりとした香りが立ってくる。さらに時間が経てば酸味と香ばしい香りが広がる。軽い熟成感もあり味わい深い。
(味) ドライでアルコール感が強い。香りとは裏腹に単純な味わいである。
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#Tasting Note