山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2008.10.26 スタンドバーにて
グレンスコシアはキンタイヤ半島のキャンベルタウンに立地する。かつては多数の蒸留所が存在し、アメリカの禁酒法の時代にはずいぶん栄えた。その後、粗製濫造がたたり衰退の一途をたどったということだ。現在残っているのはスプリングバンクとグレンスコシアのふたつのみである。
スプリングバンク蒸留所の影に隠れてしまい、知名度の低いグレンスコシアではある。実際かつてのオフィシャルボトルはさしたる特徴もなく、熟成感も感じられなかった。蒸留所の顔たるオフィシャルボトルにしては寂しい限りである。
そんなグレンスコシアの印象ではあったが、今回の5本はボディも厚く、上品さと深みでおおいに見直したしだいである。スペックを見ると1990年代の蒸留が4本あるが、しばらくの蒸留所閉鎖後1989年に蒸留を再開している、今回、印象が良いことと関係が深いのかもしれない。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] シグナトリー グレンスコシア バーボンカスク 33/193 1974-2005 cask no.844 31年 44.9% ***
(香り) 非常に綺麗な第一印象。フルーティーでさわやか。マイナスの要素が無い。しだいに甘さと酸味を感じるようになる。
(味) フルーティー、アンド、フルーティー。熟成感十分、酸味がスパイスとなっている。熟成由来の渋味も心地よい。やや軽くはあるがいつまでも飲んでいられるモルトである。
*** [No.2] ロンバート(スコッチモルトセールス)グレンスコシア 1991-2002 57.0% ***
(香り) わずかなヌカやタクアンの香り。軽いピートを伴う、いがいがした香り。その後、炭酸水を思わせる香りがでてくる。リフィルシェリーカスクを感じさせる香り。
しばらくするとキャラメル香が強くでてくるので、バーボン樽熟成かもしれない。
(味) 麦芽風味が強い。わずかにピートを利かしている。ピリピリと刺激があり熟成不足か。
*** [No.3] SMWS(スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)No.93.4 1991-1999 8年 66.1% ***
(香り) たいへん濃い香り、深みのあるエステル香。フルーティーではあるがまったりとしている。やや砂糖水の印象があり、熟成が十分進んでいない感じだ。
(味) やや若く甘みをともなう。軽いピートがアクセントだ。アルコール感が強いが、心地よい苦味があり、味のバラエティーで楽しんでいられるモルトである。
*** [No.4] キングスバリー ケルテック グレンスコシア 196/197 1992 66.2% ***
(香り) トップノートはエレガント、相反するがややヌカっぽいところもある。まったりとして深みがある。甘さと安らかな熟成香、酸味もほどほどありバランスが良い。しばらくすれば、バニラの香りも感じられる
。
(味) 良い意味で枯れた樽の含み香。ピリピリとしてドライ。
*** [No.5] アデルフィ グレンスコシア cask no.434 1992-2006 13年 66.8% ***
(香り) まずヌカである。グラスを回していれば次第にエステリーが前に出る。酸味と甘みがバランスしている。ウッディな熟成感が心地よい。
(味) ウッディで熟成が程よい。いろいろな個性がすこしずつ現れ、うまくまとまったモルトといえよう。
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#Tasting Note