山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2006.12.24 スタンドバーにて
今月のお題は、「スプリングバンク」である。
スプリングバンク。「モルトの香水」「塩味が強い」などなど、個性的な言葉で表現されてきたモルトであり、モルト呑みの間では言わずとしれたビッグネームである。
かつては、「モルトの香水、甘く深い香り」の印象が確かに感じられた。それは上質なシェリー樽を好んで使っていたこと起因するものであろう。
一転して最近のオフィシャルボトルでは、「麦芽風味」「ドライな甘味」そんな印象が強い、意識してシェリー樽を使わないようにしているようである。
今回も、NO.4のモルトにそれが感じられたのである。
今回の5本もバラエティーにとんでおり、明らかなシェリー樽熟成のもの、良質のオーク樽のものとクリスマスに出されるのにふさわしい、すばらしいモルトたちであった。
さて、今回の5本を紹介しよう。
***[NO.1]スコッチモルトセールス スプリングバンク 1974-2002 48% ***
(香り)ややこげたトップノート。しだいにエステリーとなり、軽いシェリー香を感じることが出来る。
しだいにタクアンの香りが強く出てくる。醤油のような風味もある。
(味)甘味が強い。口に含んでいると、えもいわれぬ旨みを強く感じる。
***[NO.2]キングスバリー ケルティック スプリングバンク 50.6% ***
(香り)ややこげた印象、灰臭くもある。軽い酸味と甘い香り。しだいにエレガントな香りとなってくる。
さらに時間が経てばキャラメルの香りに支配される。
(味)シェリー樽の「こげた」個性が強い。湿気て暗い印象。
***[NO.3]キングスバリー ジョンマックドゥガル スプリングバンク 1991 59.7% ***
(香り)エステリーで極めて上品。軽いシェリー香。かすかに生臭いところはシェリー樽由来であろうか。
しだいに爽やかな酸味が出てくるが、さらに深みが加わってすばらしい香りとなる。キャラメル香とバニラ香も感じられるのでバーボン樽熟成かもしれない。
(味) きわめて深い含み香。熟成由来のにがみが心地よい、酸味がバランスを取っている。
***[NO.4]SMWS 27.49 スプリングバンク 1989-2002 12年 54.7% ***
(香り) 香ばしい香りとキャラメルの個性。オイリーでもある。最初かすかにモルティーであったが、しだいに強くなってくる。
甘味が強い、やや酸味が香る。奥にはヌカの香りもある。
(味) 酸味が心地よい、かすかな発泡を感じる。ドライであるが甘い。味ではモルティーな印象はない。
***[NO.5]ダン ヴィーガン スプリングバンク 1974-2003 28年 54.0% ***
(香り)きわめてエステリー、かつスイート。非常に明るい香りである。酸味が心地よくフレッシュ。やや発泡を感じる。
しだいにキャラメル香や、深い木の香りに包まれる。新鮮さと熟成が同居したすばらしい香り。
(味) ウッディーな含み香がすばらしい。エステリーがあとを追う。酸味のなかに熟成由来の苦みが心地よい。
#Tasting Note