山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート 2006.11.26 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレングラント」である。
グレングラント。ビッグネームではあるがオフィシャルボトルはあまりぱっとしない、ただしボトラーズものとなると、長熟の「こてこてシェリー」が有名である。
今回あえて出さなかったかどうかは定かではないが、こてこてシェリーは一本もなかった。フルーティであること、ミントの印象があることからスペイサイドかハイランドではないかと思ったが最後までグレングラントの名前はでてはこなかったのである。
5本のノージングを終えて、バラエティにとんだ5本であるのでビッグネームではと感じた。グレンファークラス、グレンリベットが頭に浮かんだが、またしてもみごとに外されてしまったのである。
さて、今回の5本を紹介しよう。
***[NO.1] キングスバリー ニューケルティック グレングラント 1969 51.5% ***
(香り)きわめてフルーティー、すっと澄み切った明るさである。すぐさまミントが香ってくる。酸味が爽やかさを助長している。
しだいに深い香りが現れ、長熟を予感させる。
(味)やはりフルーティーである。味では熟成感がすぐさま現れる、それもかなりの長熟と思われるものだ。樽由来のウッディな心地よさ。さらにドライでもある。
***[NO.2] ベニーバ グレングラント 1977 24年 54.8% ***
(香り)タクアンの香り、臭みが強い。酸化したアルコールの香り。しだいにキャラメル、バタースカッチの香りを感じるようになる。オイリー。
さらに時間が経てば、えもいわれぬゴージャスな香りが見え隠れする。
(味)やはりタクアンである、ドライで若さを感じる。
***[NO.3] ダンカンテイラー ピアレス グレングラント 1974-2003 28年 55.1% ***
(香り)エステリーで極めて上品。ミントも心地よい、ミディアムボディ。軽いシェリー香と熟成感。
しばらくすれば甘い香り満たされるようになり、さらにウッディーな香りがすばらしい。
(味) キャラメルの含み香、きわめて深いものである。すばらしい熟成感である、最上のエステリーとウッディー。
***[NO.4] SMWS 9.30 グレングラント 1972-2001 28年 56.6% ***
(香り)まず感じるのは華やかな香りである、あえていえば「うきうき」とさせる香り。
しだいにキャラメル香がでてきて、まったりとさせてくれる。エステリーな印象は熟成由来のものだ。
さらにウイスキーボンボンの香り、奥にはバニラの香りも。幾種類もの香りが次々とでてきてお得なモルトである。
(味)トロピカルフルーツを感じさせる味。しだいに梅酒の味ともいえる含み香となる。アルコール感は強くピリピリする。
***[NO.5] ゴードン アンド マクファイル グレングラント 11990-2006 15年 60.3% ***
(香り)上品な生ぶどうの香り、その後トロピカルフルーツの香りに満たされることになる。熱帯のリゾートで感じられるこの香りは初めての経験である。
その後ワインの香りも出てくる、さらにフレッシュジュースも。フレッシュとはうらはらにキャラメルやウッディーな香り、さらにバニラと、深々した香りも併せ持つモルトである。
(味)ピリピリとしていてドライ。やや渋みも感じられる、酸味が味に華やかさを出しているがそれほど印象的なものではない。香りに較べると味は単調なところが残念だ
#Tasting Note