MENU

春の山崎蒸留所(5)

日曜日の樽詰めはお休み。

実際のことを言えば、山崎での樽詰めは
物流的に効率的ではない。
山崎で蒸留したモルトの大半を近江エイジングセラー
で熟成させているわけですが、樽詰めを山崎で
していたら、樽の重量+隙間分の輸送コストがかかる。

なので、近江エイジングセラーまでニューポットを
タンクローリーで輸送、セラー内で樽詰めし
貯蔵しているものと考えられます。

近江エイジングセラー内の情報ってほとんど
出てこないので推測ですが、経営的には
当たり前な考えだと思います。

以前にタンクローリーに何か液体を入れているのを
見たことあります。(前に紹介したかな?)

山崎のウェアハウスはコンクリート造り。
住宅地も近いので消防法的な制約もあると思います。

コンクリートが悪いとは一概には言えませんが
窓もないこのウェアハウスだと、外気と触れ合うことが少ない。
よく言われる、夏膨張・冬収縮というときには
外気(山崎の空気)が少ないってことになります。
つまり、風土のキャラクターは控えめに仕上がるんだと思います。

さらに云えば、このコンクリートは防火設備と考えると
厚さが結構あると思います。
つまり、外からの熱も遮断できる。いわば人工の洞窟。
冷気を保つ工夫が他にあるかもしれませんが
いつの季節行ってもウェアハウス内は涼しい。

山崎は日本のほかの蒸留所に比べれば、低地・低緯度。
平均気温で考えても一番不利な条件です。
温度が高ければそれだけエンジェルスシェアは増えます。
スコットランドで2~3%といわれているのが
山崎の気温で同じわけがない。
カバランなんて10%にも及ぶと言っているし。

しかし、サントリーとしては日本最初の蒸留所として
築きあげたブランドをやすやすと手放すわけにも行かない。
気温の高い山崎の地で、どうにか揮発量を抑えて
熟成させることはできないだろうか・・・。

それなら、山崎に高緯度の気温を作ってしまえばいい。
その結果、このようなウェアハウスができたものと。

今回の工程見学は別な見方をしてみました。

この記事を書いた人