ひたすら手に入れる事のできるオフィシャルボトルを追いかけている参段です。
今回仕入れたのは美味しいディジェスティフ(食後酒)のグレンオード12年(900円)です。色々な実験がされたというグレンオード蒸留所をご紹介したいと思います。
グレンオードとは・・・それ程際だった特長はないのですが、飲みやすいマイルドなモルトでハイランドの典型的な食後酒と言われています。
蒸留所は、北ハイランドの中心地インバネスから北北西に20キロ行ったミュア・オブ・オードという古い町にあります。この町はブラック・アイル半島の付け根にあり、この地は古くからウイスキーの密造が盛んでした。(※ビギナーの方の為に・・・スコットランドのウイスキーは1824年にグレンリベットが政府公認第1号蒸留所の認定を取るまで皆誰も、税金逃れの為にこっそりと密造していました。)オードの周辺にも、かつてはいくつもの蒸留所があったのですが、現在残っているのはこのグレンオードだけです。ちなみにブレンデッドスコッチ、デュワーズの主要モルトでもあります。
特筆すべきなのはここがUD社(現在は統合されてMHD:ディアジオ・モエ・ヘネシー社)系列の蒸留所の中で”実験的蒸留所”だった事です。石炭の直火焚きにかわる加熱方法として(ちなみに北海道の余市蒸留所は伝統の石炭直火焚きです。昨日その動画をmorupon様に見せて頂きました♪)、スチームのパイプを通した蒸気蒸留方式がここで初めて採用され、8年間にわたって両者の比較実験が行われたそうです。その結果2つのウイスキーに決定的な差がなく、蒸留方式の有用性が初めて実証されました。それ以来、同社系列の蒸留所では蒸気蒸留方式にスティルに切り替えられ、現在ではこの方式が他の蒸留所でも主流になっています。
さらにドラム式モルティング(※ビギナーの方の為に・・・モルティングとは原料の麦芽を発芽させる作業の事です。)を採用したのもグレンオードが初めてで、現在では蒸留所に併設して巨大な製麦工場があり、UDV社系列だけでなく、周辺蒸留所にも麦芽を供給しています。う~ん親切。
グレンオードの実験は大成功していますので実験の成果をお楽しみ下さい。
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