先日あるお客様とデキャンティングの話になった。しかしそれはワインではなくモルトのデキャンティング。
モルトをデキャンティングすると言っても、ノンチルボトルの不純物を取り除こうなんて話ではない。モルトが空気に触れた後の香りの変化を早くする為のデキャンティングである。モルトウイスキーと言うものはとても繊細で香りの変化が楽しめる。中にはグラスに注いで5分、10分しか経っていないのに劇的に香りが変化するものだってある。しかし早く変化を楽しみたいからと言って空気にあたる表面積を増やす為にワインみたいにデキャンタグラスに全部移し変えてしまう事はできない。そこでいかに早く空気と触れさせる事において香りを開かせる事が出来るかを幾つか試みた。
まずは普通にテイスティンググラスに注いで高速でひたすらグラスを回す。用いたのは山崎のオーナーズカスクでアルコール63%。くるくるくるくるくるくるくるくる・・・目が回りそうだ(笑)腕もつりそうだ・・・。さぁもうそろそろいいかな?飲んでみると・・・う~ん・・・微妙だ・・・確かに変わってきている気もするけど・・・あまり大きな変化はないようだ・・・却下
ならば次はシェイクだ!シェイカーにモルトを注ぎミスターX様に伝授頂いた上田和夫氏の伝説のハードシェイクをしてみた。シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ・・・?!うぉ~・・・シェイカーのボディとストレーナーの間からモルトが溢れ出てきた・・・なぜだ?きちんと閉めたはずだぞ・・・閉まってなかったのかな?もう一度初めからリトライ!シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ・・・?!うぉ~・・・やっぱり漏れる・・・。アルコールが原因なのか?と思い次は水でやってみた。シャカシャカシャカシャカシャカシャカ・・・お?水やったら液体は漏れへんぞ。ってな事はやっぱりアルコールが原因なんだな!でもカスクストレングスだとアルコール分が高いから揮発するのか?と思い好奇心の赴くままに色々なウイスキーを試してみた・・・バーボン(オールドニューオーリンズ53・5%)=×・・・ブレンデッド(カティサーク40%)=×・・・う~んウイスキーはアルコールが高いからあかんのかなぁ・・・それなら焼酎だ!神の河を同じくシェイクしてみたが・・・だめだった。でも全て飲んでみると味わいは柔らかくなっていた。う~ん味は変化したけどモルトがこぼれてもったいないので・・・却下
ならばテイスティンググラスにモルトを注いで飲み口から液体が漏れないようにラップでふさいでやってみよう!準備完了。よーいドン!ひたすら上下に激しく降ってみた。シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ・・・。これもまた腕がつりそう・・・(笑)うわぁ!液体が漏れないように施したラップが膨張して膨れ上がっている!やはりアルコールと空気とが結合する事により科学反応を起こしているのだろう・・・。その化学式は・・・わかりません・・・(笑)液体を見ると・・・!!泡立っている!数秒後には気泡は消えた。早速飲んでみると・・・!?おぉ~!味わいが明らかに柔らかくなっているではないか!香りも円やかになっている。う~んこれが一番使えそうだぞ。やるならこれかなぁと思った・・・採用
皆様はモルトのデキャンティングをしますか?また何か良い方法はありますか?
しかしモルトをデキャンタして!なんてオーダーは果たしてあるのだろうか・・・。
#日々の出来事