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原価率100%の熱い思い

whiskycat1494は立ち上げ間もない無名の信頼度がないバーである・・・しかし僕は取引先の方を「支払いが出来なかったらバイトをしてでも絶対に支払いが滞る事はありません!!」と強引に説得して全部掛売りにしてもらった。本当に我ながら身の程知らずのあつかましい奴だと思う・・。

 月末〆の10日払いでの契約。売り上げは毎日、銀行に入金している。すると0に近かった残高が少しづつ増えて来て喜んでいた。これで品揃えが増やせるぞ!と意気揚々に新しいモルトを物色して買い集めて行った。店にはボトルの数が増えた!自分の好みや店のコンセプトに沿いお客様のご要望にもお答え出来る嬉しさから買いあさっていた。そしていざ支払日になってみると・・・ガーンッッ!・・・わかってはいたものの調子に乗って買い過ぎた・・・支払いが滞る事は免れたがせっかく増えた残高が支払いを全て終えるとまた空っぽに近くなってしまった・・・これまた自業自得である・・・。自分の給料は今月はありません・・・。開業前にパチンコ屋でバイトしていた時の給料をもらってたので今月はなんとかそれで生活していけるので助かった・・(冷汗)

 バーや飲食店を経営していく上でのセオリーは原価率30%以下と言われている。しかし安価でご提供したい当店はそのセオリー通りと言う訳ではない。立地的にも店内の席数、キャパシティーからも回転率が良くなるとは考えにくいし、別に薄利多売を目指している訳でもない。しかし店のコンセプトはモルト入門店に使える店であるが故に珍しいボトルやレアなボトルではなくオフィシャルのボトルを多く揃えているのでワンショットの金額を上げる訳には行かない。

 その為には値段が張るボトルは数多く置けない。しかしモルト通の方にご満足頂ける様にSMWSをはじめ各種のボトラーズ、長熟物もご用意したい。それらの値段が張るボトルはカウンターの上に並べるようにして、目に付き易いバックバーの商品は1000円以上の物は置かないようにしている。
 
 僕は貧乏人のくせしてモルトが大好き。だからいろんなモルトが飲みたい。そうしていつもモルトバーに入るたびビクビクしながらオーダーしていた・・そしてそのモルトの金額を大体想像しながら飲んでいた・・・そんな会計の事を気にしながら飲んでいてはおいしいはずのモルトも存分に味わえないし、まずく感じてしまうかも知れない・・そんな経験からモルトビギナーの方の為に値段でモルトへのアプローチを妨げるようなハードルは取り払いたいとずっと思っていた。自分自身が行きたい店。気軽に通える店。それがこの店をやろうと思った最大の原動力である。

 当店ではお客様が気になるボトルがあってそれを見せてと言われれば僕がお取りして見て頂く、ボトルの裏にはワンショットの金額を書いたシールが貼ってある。別にそれを見なくともバックバーのボトルが1000円以下なら臆する事無くご注文頂けると思った。また金額を気にしながら飲む酒なんてまずうて飲めるか!とおっしゃるお客様がいる事も承知しているつもりではある。しかしwhiskycat1494はあくまで明朗会計にこだわりたい。ご自身がお飲みになられた物の金額を知らずにお会計を済ませて頂くのは不本意である。なのでチェック(お会計)して頂く際には全てのオーダーに単価の入った伝票を声に出さずにご提示する。僕がお釣りを用意している際に何をどれだけ飲んでいくらしたのかをご覧頂きたい。またそんな細かい事どうでもええがな!見とうおまへん!とおっしゃるお客様は合計額にだけ目を通して頂ければいいと思っている。明朗会計にこだわる理由はモルトはワンショットの値段が高いお酒だけにモルトを扱う店のイメージとして会計不明瞭なぼったくりと思われてしまっては当店のみならず、モルトを扱うバー全体のイメージを悪くしてしまう恐れがあるからとの考えからである。それが故にこれからもずっと明朗会計にはこだわって徹底させて行く。

 きれい事だけでは経営が成り立たないのはわかっている。しかし若輩者が生意気ながらも言わせて頂くと微力ながらも本気でモルトの魅力を広めて一人でも多くの方にモルトの魅力を知って頂きたいと思っている。その為にはいくら苦しくとも今出来る事を全力でやらなくてはならない。値上げはせずに今の価格帯でご提供する。それが出来ないのなら僕はこの店をやっている意味がなくなってしまう。それなら僕は負債を背負ってでもいい、この店を閉めようと思っている。今は必要最低限な生活が出来ればいい。自分の給料や店の利益なんて二の次、三の次でいい。

 whiskycat1494に来たお客様がモルトを飲まれなくとも全く持って構わない。ご来店頂いたお客様にご満足を得て笑顔でこの店に来て良かったと思って頂きたい。そしてまたwhiskycat1494へ行こうかなぁ。そう思って頂けるお客様がいらしてくれるのなら何にも替えがたい喜びである。モルトファンを増やしたいと言う目標があるがまずその前に「ここに来て良かったなぁ」と笑顔でお帰り頂きそして「また今度来ようかなぁ」と思ってもらえるバーを作りたい。それがいずれモルトファンを増やす事の過程となり結果につながれば嬉しい。

 それが僕の切なる願いである。

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