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「最新 ウイスキーの科学 熟成の香味を生む驚きのプロセス」

バーテンダーが他のサービス業と圧倒的に違う所は何か?
やはり、酒の知識・提供技術を磨く所でしょう。
バーテンダーを名乗る以上は、そこを怠る事は出来ません。
 

この本は、深くウイスキーを研究したい方にはぴったりの一冊です。

是非参考にしてみて下さい。

 

【麦芽の化学】

 
ウイスキーは人間と同じように、段階を経て育ちます。
「製麦→糖化→発酵→蒸留→熟成」大きく分けてこの5工程です。

それらには、少年を大きく育てるために凝らした、知恵が随所に設けられています。

それでは、まず、製麦からみていきましょう。

 

《原料は二条大麦》

 
モルトウイスキーの原料となるのは、二条大麦。
世界最古の穀物の一つだそうです。

 大麦はイネ科の植物で、実のなる穂の形の違いで「二条種」「四条種」「六条種」に分類されます。
 
ウイスキーで使用される、二条大麦は、85%がデンプン、10%がタンパク質です。
 
デンプンは、種子が育つための栄養素。これが多いと、よいウイスキーが出来るのです。
 
また、二条大麦にもたくさんの品種はありますが、デンプンが多く、酵素活性が強く、タンパク質の含有量が多すぎない事が大切です。

 

《水に浸して、発芽させて、乾燥させる》

 
二条大麦中のデンプンを「酵母」となる微生物が食べ、アルコールに分解してくれます。これが、発酵です。

 
この、大活躍してくれる酵母は一体何物か?
 
この子は、5~10ミクロン(1ミクロンは1ミリの1/1000)の肉眼では見えないほとんど単細胞で過ごす微生物です。

 

微生物は、細胞内に核膜に包まれたDNA核を持たない「原核生物(※)」とDNA核を持つ「真核生物」に大きく分類されます。

酵母はこのうち真核生物の中の真菌類にあたり、カビやきのこも同じ仲間です。ちなみに、人間も酵母と同様に、DNA核を持つ真核生物。どちらも遺伝的に安定した細胞を持っています。

※原核生物には細菌類(乳酸菌・納豆菌など)と、ラン藻類(ユレモ・ジュズモなど)などが含まれます。

しかし、ここで問題があります。酵母の口にはデンプンは大きすぎて入りません。
 
デンプンは、ブドウ糖(C6H12O6)が数千個結合した高分子。
 
これを、食べやすい単糖類のブドウ糖や、それが二つ結合したマルトースにする必要があります。
 
なので、カットしてあげるナイフが必要なわけですが、ここで好都合な事がありました。
 
大麦の種子は、発芽する時に、デンプンをカットするナイフを自分で作りだす事が出来ます。
 
これを一般的にデンプン分解酵素と呼びます。
 
本来、種子はデンプンをエネルギーに変えて、成長していくため、この分解酵素を使用するのですが、人間はこれをうまく利用するわけです。
 
まず、貯蔵の段階で、芽が出てきては、デンプンを使い果たされてしまいます。
よって、成長して貰わないために、種子を眠りにつかせます。
 
その後水に浸して発芽。このとき使うのは仕込水(マザーウォーター)です。蒸留所によって、使用する水も違うのです。これもウイスキーの面白さですね。
 
そして、含水量45%ほどまでの大麦に仕上げます。(収穫直後は16~17% )

この状態の大麦を「グリーンモルト」と呼びます。次にグリーンモルトをコンクリートの床に広げ、均一に発芽するようシャベルで撹拌を繰り返します。

この作業をフロアモルティング、作業をする職人をモルトマンと言います。

そうしてると、芽が出て、大麦の体内で酵素が作られます。
 
しかし、このまま成長されては、デンプンを消費されてしまいます。適当な段階で再び種子を乾燥させ、発芽の進行を止めます。
 
種子にしてみたら、水に浸して目覚めさせられたり、乾燥してねむらされたり、いい迷惑かも知れません。
 
人はなんて賢いんでしょう。
 

《ピートの香りはモルトのアクセント》 

 
時期を見計らって発芽した大麦麦芽を乾燥し、発芽をストップさせると前項で ご説明しました。
 
これは、なるべく速く、しかも温度をあまり上げすぎずに行 う事が大切です。
そうでないと、酵素は温度に弱く、酵母の食事、発酵が行えません。
 
よって、厳密な温度管理体制のもと、送風乾燥を行います。
ここで乾 燥に使われる燃料がピートです。
 
ピートとは、土壌中の植物の遺骸が十分に分解されずに蓄積し、部分的に炭化した物。
 
気温の低いスコットランド北部などでは、植物遺骸の量に比べて土壌の微生物による分解作用が十分でないためピートが多く作られます。
 
ピートの主要な原植物はヒースという低木植物、水コ ケ、水草。
 
特にスコットランド北部には、ヒースが群をなしており、その遺骸は燃料として昔から使用されていました。
 
 ピートを燃料にすると、『煙ったい』香りがあたりにたちこめます。この香り が大麦を乾燥させる時に、じっくりと吸収されるため、ウイスキーのアクセン トとなるのです。 
 
一般的に、スコッチはジャパニーズに比べてピートの香りを多く利用する傾向 にあります。
 
また、カナディアンのように、ピートを全く使用しないものもあ り、色々です。
 
蒸留所から麦芽づくりを依頼された、モルトスター(製麦工場)は、麦芽を乾燥するピート使用量を変更したり、時間を調節したり、産地を選定したりといった工夫でコントロールしています。
 
さて、長くなりましたが、ここまでご理解頂けたでしょうか?
次回はいよいよ、酵母のお食事の時間!!
お楽しみに!!

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