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味の客観的評価~ネズミに舌を巻いた?~

5月11日朝日新聞朝刊、サッカーWカップの日本代表選手の載っている裏面、科学のコーナーに京都大学大学院農学研究科の伏木亨教授の「味の客観的評価~ネズミの実力 舌を巻いた~」という記事がありました。

伏木教授は「コクと旨味の秘密」など味覚や嗜好に関する著作がたくさんあるこの分野の専門家です。

【本の主な内容】
「ネズミはビールにキレよりもコクを求める」「赤ワインに醤油を垂らすとコクが増す!?」「男性生殖器と口の中には深い関係がある」「牧場のミルクが美味しい科学的根拠」「甘味無しの世界は殺伐としている」―。ビール、ラーメン、吸い物、カレー、あらゆる食物で感じられるコクとは一体何なのか。その正体を科学者の目で探ることで見えてきた美味しさの秘密。「コクの構造」が今明らかに。

さて、記事に戻ります。

伏木教授はネズミに清酒の官能評価をやらせてみたそうです。

純米吟醸酒を各種選び、酒類総合研究所の鑑定官に甘口から辛口まで順番に並べてもらい、比較する酒を2本づつ15匹のネズミに提示して、どちらが好きか、全ての酒を総当りで、摂取量の多さで順位をつけたそうです。

結果は、辛口よりも甘口を選んだそうです。中でも飲んで障りのないスムーズな清酒を好んだ、とのこと。
これは、人間の、酒に慣れていない初心者や若年層の好みにも通じるのだそうです。

一方、辛口の酒は栄養素が豊富でないという信号であり、ネズミは体脂肪を燃やして低栄養に備えることが酒を与えた後の血液成分の動きで分かってきた、とのこと。要するに効率が悪いということでしょう。辛口の酒は身を削る味であるとネズミが教えている、飽食の時代に飲まれる酒である、と伏木教授は言います。

・・・ということは景気が良いとドライなビールや日本酒、ビールが好まれ、景気が悪いと、甘口の日本酒やワイン、ビールが好まれるっちゅうことですかね?
私はいろいろなタイプのワインやビール、日本酒を飲みます。辛口赤ワインのコクを除いて概ね甘口なのは歳のせいかと思ってましたが懐具合が寂しくて高級酒をたくさん飲めないからだったとは!(笑)

記事は、最近はワインをネズミに与えてどんなワインを選ぶのかネズミの舌に期待している、と結ばれています。

モルトウィスキーに関しては私自信の好みや15年余りの経験上、入門・初心者にアイラモルト、スモーキー・フレーバーの強いタイプをお好みになる方が多いように感じます。(とはいえ20年以上飲んでいらっしゃるドリンカーや先輩のベテラン・バーテンダーの中にもアイラモルトが好きな方はたくさんいらっしゃいますし、私が感じているだけで客観的な事実や統計に基づいているわけではありません)

なぜ初心者がスモーキーなタイプのウィスキーをお好みになるかというと、ウィスキーをストレートでお飲みになるのにまだ慣れていなくても、香味が分かりやすいからと私は認識しています。例えば同じ熟成年数のスペイサイドやハイランドのウィスキーと比べると比較しやすいかと思います。逆に若い熟成年数のスペイサイドやハイランドのカスクストレングスの商品を初心者にお出ししても肯定的に評価してくださらないのに、(定義が厳密ではありませんが)中級以上のドリンカーには概ね好評だったボトルも多々ありました。

遺伝子情報が90%以上同じとか、必要な栄養素や代謝が似ていても、ネズミと人間を一緒に考えることはできないとは思いますが前述の『辛口の酒は身を削る味であるとネズミが教えている、飽食の時代に飲まれる酒である』というような生物学的?なことは分かるので面白いですね。伏木教授には各種ウィスキーのミズワリも是非試して欲しいです。

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