ウィスキーのボトルはガラスが一般的、陶器ボトルは少し異色の存在です。
高級品や限定品等、グレードの変化をつけるために使われていたりしますが、その能力といえば
陶器ボトルはガラスに比べてアルコールが抜けやすい、揮発しやすい・・・などなど、あまり良い話は聞きませんね。
特に1980年代以前のオールドボトルの陶器ボトルに手を出して、泣きを見た人はかなり多いのではないでしょうか。
私もアボットチョイス、マンロー、イモンクスなど、コルク臭やらてろんてろんにアルコールが抜けた中身やら、痛い思いをしています。
しかし、アルコールが抜けやすい、揮発しやすい、ということは、ガラスに比べて隙間があり、成分がしみこみやすいということでもあります。
つまり、良いウィスキーが長く入っていた陶器ボトルであれば、そのエキスがしっかり染みこんでいるのでは・・・
その空きボトルに、同じ系列のウィスキーを入れれば、染み込んだエキスが還元され、おいしくなるのでは・・・
ロマンのある話です。
しかし瓶詰めされて時間が経過していて、さらに状態が悪くなってない、陶器ボトルの空き瓶なんて、早々あるわけ・・・あるんです。
先日、手元にあったドイツ向けのグレンファークラス1969、陶器ボトルが空きました。
「ど」がつくほどのシェリーで、シェリーの風味としては1960年代の味わいを感じさせる大変すばらしいものの、
ボルドーなんてかすんでしまうほどギュッと歯茎に食い込むタンニンと、
カカオ複合率90%くらいのビタービタービターチョコ的な苦味が、特徴であり傷でもある一本。
瓶詰めは2000年、今から約10年前で、今回の条件にばっちり合致します。
これは実験用としては良いサンプルになりそうです。
この空き瓶に、三鷹BURNSさんの協力でグレンファークラス105を詰めて1ヶ月ほど放置していただきました。
気になる結果ですが、まず下がノーマルの105です。
シェリーが薄くなってしまった、今のファークラスらしい色ですね。
味もまぁ、こんなもんだよね、という味です。
続いて、1ヶ月間陶器ボトルの中で熟成した、グレンファークラスですが、
どうですか奥さん、この変化!
このかつてのファークラスを思わせる、存在感のある色!!
通常の105にある、木っぽさというか、未熟なシェリー感が薄らぎ、ハイプルーフのアタックとあわせて、
杏やレーズンなど、シェリー樽熟成ウィスキーの良い香りと味わいがしっかりと広がり、バランスもGOOD!!
明らかに全体のレベルが上がっていました。
これならジャグ系のオールドで比較的シェリーの印象が強い、マンローとか、ベルの長熟とか、そのあたりの空き瓶に詰めても面白いかもしれません。
詰めるモノとしては、後の影響を考えると、やはりハイプルーフのモノがベストでしょう、105以外ではGM10年のハイプルーフでもいいかもしれません。
本ボトルについて気になる方は、ぜひ三鷹のBURNSへ。
頼めば出してくれるはずですよー。
#グレンファークラス #BURNS