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フランスにおけるシャトー購入の手引き

お城に住むなんて
御伽噺みたいですねー

http://news.nifty.com/cs/world/worldalldetail/yucasee-20090414-616/1.htm
2009年4月14日(火)9時20分配信 ゆかしメディア

■富豪にとって、古城は日常の一部
 いつかヨーロッパにシャトーを購入して、城の主人として暮らしてみたい……そんな夢を密かに抱いている方は多いのではないでしょうか? 
現在、ハリウッドスターや各国大統領など多くの著名人がシャトーを所有していることで知られ、その人物に関連するニュースでシャトーも様々な場面で顔を出します。

 例えば、世界中を転々と引っ越していることでも知られるハリウッドの大物カップル、アンジェリーナ・ジョリーさんとブラッド・ピットさん。2008年6月、一家は南仏プロヴァンスのバール県にあるシャトー・ミラバルに引っ越したと報じられました。
シャトー・ミラバルは17世紀の建造。森林とブドウ園に囲まれた400万平方メートルの敷地の中にあり、バール県でも最も美しいとされる場所にあります。このシャトーではオーガニックワインも生産されているとか。

 2009年2月には、サルコジ仏大統領夫人のカーラ・ブルーニさんがイタリア北部に所有していた古城を、アラブ人富豪に900万ユーロ(約10億3500万円)で売却しました。この城は1019年に建築され、その後建て替え工事が繰り返されてきたもの。居室が40もあるという巨大な城ですが、誰も出入りしていない状態が続いていたようです。

 また最近では、4月になって明らかになったニコラス・ケイジさんの古城売却です。2006年に約2億3千万円で購入した、500年の歴史を誇るドイツのナイトシュタイン城。しかし、彼が実際にこの城を訪れたのはたった一度きり。ケイジさんの古城好きは有名で、イギリスにも18世紀に建てられた古城を所有しています。

 このように、世界の富豪と古城は切っても切れない関係です。ヨーロッパの中でも、特にシャトーが多いのはフランス。
現在、フランスには約4万3千軒の城があり、年間約400軒が売りに出されているといいます。
シャトーに住むには賃貸、購入、シャトーホテルに滞在するなどの選択肢があります。
しかし、やはり購入してオーナーになるというのが資産家にとっての究極の夢ではないでしょうか。
 では、日本人が実際にシャトーを購入するにはどういう点に注意するべきなのか? フランスやモナコでシャトーを売買しているChateau de l”Aigeuttaの齋藤公子さんにお話を伺いました。

■フランスで売買されるシャトーの実態
―フランスで実際に購入できる城はどんなものですか?
「売りに出ているお城は少なくはありませんが、本当にお城といわれるに相応しいものはあまりないと思います。
これは、状態に関してですが。古城について詳しくない方には意外かもしれませんが、例えば15世紀、16世紀に建てられたような古いお城で、すぐに住むことができるものはほとんどないと思った方がいいです。
床がなかったり屋根がなかったりと…お城によって程度は全く異なりますが、かなり改装が必要な場合がほとんどです。

古いものになると、改装するにしても国からの許可が必要で、中には許可を取るまでに数年かかるものもあります。
だから購入の際は、よく吟味するべきです。完璧なお城ももちろんあるとは思いますが、それは前の所有者のメンテナンス次第ですね。」

―まずどうやって探せばよいのでしょうか?
「ターゲットにする場所がある場合は、ある程度ネットで調べることができます。実際に現地を訪れて、購入したいエリアのエージェントをあたるのも良いと思います。」

―良い古城の見分け方はありますか?
「良い悪いは個人の判断ですが……。古いお城の多くは “Middle of nowhere”(人里をはるか離れたところ)で、
何をするにも不便なことがたくさんあるので注意が必要です。
都心から近からず、遠からず。適当な距離であることは大切ですね。」

■購入時に見落としがちなのは維持費
 現在、フランスの古城は比較的価格が安くなっていて、パリでマンションを買う値段で購入できるといいます。
例えばフランスで、16の部屋と1000平方メートルの生活スペース、伝統的な庭園付きの15世紀の城を購入する場合。
値段は約80万ユーロ(約1億560万円)で済むそうです(これはフランスの城の平均的価格)。
30~40万ユーロ(約4000~5300万円)でも小規模な城なら購入できます。
都市部の地価が高騰する中、富裕層にとっては格安品と見られるようで、衝動買いする方も多いそうです。

 このように、購入自体は決してハードルが高いというわけではないようです。しかし購入後に出てくる問題として、城の維持費があります。
前述のように床や屋根などあちこちに修理が必要な場合や、膨大な維持費の他に年間2万リットルの暖房用燃料が必要な場合もあります。特に長い年月空き家だった場合、修理をあきらめてまた売りに出されることもあるそうです。また何百年も一族で所有していて、大切な財産となっている場合でも、財政的負担のために手放されることもあるのが実情です。

■税金対策で良い弁護士を雇うのは必須!
―日本人が城を購入する際の注意点は?
「最近は、お金を持ったロシア人や中近東からの人たちがお城を買いに来ているようですが、いつも問題になるのは税金です。購入方法によって、その後の税金にかなり大きな差が出てきます。最初が肝心です。フランスの契約書はかなり複雑です。また法律により、売買には必ず弁護士が立ち会い、お金の行き来も弁護士を通して行います。ですから、知識のある良い弁護士を雇うことは大必須ですね。」

■外は古城、中は超モダンな現代のシャトー
―Aigeuttaはどのような古城を販売しているのですか?
「私はモナコをベースにシャトーを販売しています。私が今関与しているお城は個人の持ち物で、縁があって協力しているものです。南フランスのモナコから車で10分の距離に位置し、土地面積は160000平方メートル、お城はおよそ4000平方メートル。ヘリコプターパットも使用可能で、ニースエアポートからは10分以内で到着可能です。」

―それは住居目的の城ですか?
「私たちの扱うお城はちょっと変わっていて、単なる古城でなく、中をリフォームして最新設備を揃えています。外からは普通の古城に見えても、中は最新式のスパがあったり、今はそういうお城も増えているのですよ。住居目的はもちろん、ビジネス目的としても適しています。ビジネス目的の場合、例えば各種プライベートクラブとしての利用がありますね。アート、ジュエリー、ファッション、スポーツなど様々な会にお城はぴったりだと思います。もちろん限られた少数メンバーのみの利用です。ですから会費もそれなりの値段になりますが…。またプライベートクラブと名前がつけば、フランスの法律では税金が有利になります。お城の特殊な使い方として、そういうビジネスをするのも素敵だと思いますよ。」

―そのお城はもう買い手はついているのですか?
「いえ、まだです。今関わっているお城は、外観はほぼ完了している状態です。外観は100年前のままで、内装は超近代的になる予定です。内装は買い手の希望通りに仕上げるため、まだ保留にしています。住居目的にしては大きすぎるという方には、住居エリアとビジネスエリアをわけて使用することが可能なような造りになっています。」

 シャトーを購入するのは簡単でも、その後維持していくのが大変。これは、一般的な別荘と同じ感覚と言えます。売りに出る城の多くは、莫大な維持費の負担ができなくなり、手放されたものが多いのです。
 またフランスにおいては、シャトーは決して資産家のものだけではなく、一般人の生活にも密着しています。日本人の感覚とは異なり、ごく普通の家族が小さな古城にのどかに暮らしている風景を見ることも多々あるのです。まずは現地に行ってじっくり下見をし、シャトーホテルに滞在して、どのような城が自分の好みなのかを見極めるところから始める必要がありそうです。

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