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「酔いどれ詩人になる前に」

標題、自分で考えた文節なら格好いいのですが、マッド・ディロンが主演する映画の邦題です。

アメリカの「酔いどれ詩人」チャールズ・ブコウスキが詩人として名を成す前までの自伝的小説を映画化したものです。

私は、ブコウスキの作品のうちでは短編小説が一番好きです。

私小説なのか架空なのか判別し難い、どうしようもないアル中寸前のオッサンの日常を書いた作品。
それでも、ブコウスキなりの哲学が貫かれており、読んでいて潔いです。

映画は・・・いい映画ですがマッド・ディロンは男前過ぎますね。
あれじゃあ、バーでスコッチを餌に女をナンパしても、男前だからと思ってしまう。
マッド・ディロンも、酒焼けは表現するが、過剰な「不細工」メイクは避けた様子。
しかし、実際のブコウスキ(を反映した主人公チナスキー)は、鼻がひん曲り、あばただらけの不細工で、それでも女が惹き付けられてしまう妙な魅力がある。
日雇いの仕事を仕方なく続けながら、自分の想いをやるせなく詩に託す男。
そして男は、なけなしの金で女に「スコッチ」を奢る。
女はそんな男になにを思うのか・・・。
それが見たかったのですがねぇ・・・。
マッド・ディロンは誠実な男前に見えてしまうのです。

ところで、主人公が「酔いどれ詩人」だけあって、映画の中には、たくさんの酒がエキストラのように登場します。
バーで女を口説くときの「スコッチ」、金持ちの家に上がり込んだときのコニャック(多分)、お祝い事の赤ワイン、そして、いつも飲んでいる「安酒」。
登場する酒のラベルに注目しても面白いかもしれません。

でも、まあ、私はこれでも仕事には真面目で、ギャンブルや度を過ぎた酒には厳しい人間です。
ブコウスキ(チナスキー)が実際に目の前にいたら・・・。

考えないことにします。

と言いながら、日本人作家では坂口安吾が好きです。
自分でも知らないところで、「酔いどれ」の男に惹かれる部分があるのかもしれませんなあ。

さてさて、今日のお供は「ジョニーウォーカー・グリーンラベル」です。
休日の間は飲んでやろうという気持ちから、ちと飲み過ぎたかもしれません。
ま、いいか。それでは、また。

#ウィスキー

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