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マクベス夫人には名前がない

昨日の夜中に、急に「マクベス夫人には名前がない」と気が付き、1日そのことについて考えてみました。
(私は一介の本好きです。
本好きの戯れ言でよければお付き合いください☆)

シェイクスピアが物した四大悲劇の一つである『マクベス』はスコットランドが舞台ですね。

グラスゴーの領主マクベスは、荒野で出会った3人の魔女により、いずれはスコットランド王となるとの予言を受ける。
半信半疑のマクベスに対し、その出来事を聞いたマクベス夫人は夫の野心を煽り立て、スコットランド王ダンカンの暗殺を唆し、二人はダンカンの暗殺を実行する・・・。

さわりの部分の粗筋は上記のようなものです。
野心が有りながら、暗殺を躊躇うマクベスにが暗殺を実行するには、マクベス夫人からの唆しが不可欠だったでしょう。
このような重要な存在にも関わらず、マクベス夫人には名前がありません。
登場人物には「マクベス夫人」とだけ記されています。
それはなぜか?

気になるので『マクベス』をパラパラと再読してみたました。
まずマクベス夫人が登場する場面では、夫人が誰かと二人で話をしている。
つまり、お互いに名前を呼ばずとも対話ができる。
また、マクベス夫人が登場しない場面で、マクベス夫人に言及されることはほとんどない。
ダンカンの臣下がマクベスへの復讐を語るのですが、あくまでもマクベスにのみ言及し、マクベス夫人には言及していません。
この二つによってマクベス夫人の名前は必要ないと言えます。

では、なぜその様な構成にしたのか・・・それは劇中でのマクベス夫人は一個の人間というより、マクベスの野心を体現したものとして存在するからではないでしょうか。
マクベス無しには夫人は存在しない。
だから一個の人間として第三者から言及されることもなく、名前は必要ない。
これが現時点での私の結論です。

ところで、実在したマクベス王の治世は11世紀。
まだウィスキーは生まれていませんね。
シェイクスピアは17世紀に『マクベス』を物したので、彼はウィスキーを味わっていたかもしれません(^_^)

#本の話

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