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ピンバッジ

あれは年の瀬も迫ったある晩のこと。
いかにも「忘年会帰り」な二人組。 かなりいい感じに酔っていらっしゃる。

男性の方はチョイ悪オヤジを目指してる?
女性の方は、

正直言って思い出せません・・・  (ごめんさない。キレイな女性だった・・・はず。)

「とりあえずサカパをロックで」
ご注文を受け用意していると、男性が女性に耳打ちしています。

「ここのバーはさぁ、ほら、あれだよぉ、バーテンダーの協会に入ってるんだよ。
ね、バッジ付けてるだろう?」

聞こえていない振りをしつつも 「何のことだ?」と、視線を交わすマスターと私。

もしかして、これのことですか・・・・・?

ワイルドターキー、メーカーズマーク、フォアローゼズの普通のピンバッジ。

私達、ピンバッジを集めるのが趣味なのです。
蒸留所に行くと必ず買ってしまいます。
バーボンはもちろん、モルトやビール、中には「北京大学」のものもあったりして。

チョイ悪オヤジはしゃべり続ける。

「僕はさぁ、いろんなラムを飲んできたけどぉ、やっぱりサカパが一番おいしいと思うよぉ。
ねぇ、マスター。サカパはうまいよねぇ。」

「そうですねぇ。おいしいですよねぇ。」
かなり適当に答えるマスター。

「お次は何にいたしましょうか?」 メニューを差し出しながら聞いてみると
「僕はメニューは見ないから。次もラムにしようかなぁ。」
と、バックバーに視線を移すチョイ悪オヤジ。

「何にしようかなぁ。」
チョイ悪オヤジは悩み続ける。

どのくらい待ったでしょうか。
待ちきれなくなったマスターがとうとう言ってしまった。

「お客様、そこにラムはございませんが・・・。」

チョイ悪オヤジが眺めていたのは、
ライウイスキーやテネシーウイスキー、コーンウイスキーなどだった。

素直に 「こんな味のが飲みたいなぁ。」 と言っていただければ
いろいろご提案したのに・・・。
微妙なうんちくを語り続けるより、ずっと格好良いのだけれど・・・。

いつかまたご来店いただくことがあったら
その時は「カッコいいチョイ悪オヤジ」に成長してるといいね。

がんばれ!!  チョイ悪オヤジ予備軍!!

by 社長

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