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肴と酒に関して(その3・鮒寿司続編)

 食べるものの持込は自由な店なので、チーズ・チョコレート・ピザ(宅配)・餃子(向かいの店から出前)・たこやき・ケンタッキーフライドチキンなんかを食べている人が多い。中には、弁当を持ち込んだ人や、ラーメンの出前を頼んだ人などもいるが。

 ある日、常連さんが、鮒寿司を持ってきた。見た目に4年もの以上のにごろ鮒で、独特のオレンジ色の身、真っ白な米粒、銀色に油の乗り切った皮目のいずれを取っても一級品である。涎がジュルジュルと音を立てそうな勢い。

 このご夫婦は、事あるごとに私をいじめて楽しんでいるようにも思えるが、とってもかわいがってもらっているようにも思える。この日は前者で、「この鮒寿司に合うモルトを出して」というオーダーである。

 口に入れるものに対して偏見は無い方なのだが、鮒寿司=日本酒という先入観が有ったことは否めない。とりあえず一口食べさせてもらって、味と香りを確認した上でチョイスさせてもらうことに。熟寿司独特のアンモニア臭はするが、さほど強くは無い・酸味はかすかにする程度・やや油の乗り方がきつい・魚の甘みはほどよい、などと分析する(なんかプロの板前みたい)。「お代わり」という言葉は、鮒寿司と一緒に飲み込んだ。

まず浮かんだのはカリラのヤングとラガブーリンのヤング。カリラは、ヨード臭がきつくなくて、フルーティーさと塩っぽさがマッチしそう。ラガブーリンは、最初のガツンと来るアイラ臭が、鮒寿司の香り?匂いをも打ち消してくれそう。という非常に安易な考えである。

 しかし、これではプロ?のバーテンダーとして、安直過ぎると考え、アイラモルトを選択肢からはずした。両方がお互いに、味と香りを引き立て合うものということで、下記の3本をチョイスした。

 レアモルト    ブレアソール 27Y
 シグナトリー   コンバルモア 22Y
 GM        インバーリーブン 1989

 お客様は、3杯とも満足されたようである。

 ブルーチーズとウォッシュタイプのカマンベールチーズにマッチしそうな3本になった。そういえば、どことなく発酵臭の部分が似ているような気も。

#つまみ

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