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肴と酒に関して(その2・鮒寿司)

 ある会社の会長のけべんさんでお出掛けした、滋賀の有名な料亭での一コマ。川えび、もろこ、鮎などを楽しんだ後、いよいよ本日のメイン鮒寿司の登場。仲居さんが、シズシズとお盆を捧げ持って、それぞれの前にお皿を配った。その刹那、会長が怒りの絶頂に。
 「何じゃ。お前のとこは客に腐ったもんを出すんか。」

 この方、金儲けが大好きで、食べることが大好きで、飲むことが大好きで、奥さんが大好きなのはいいのだが、ちょっと変わったところも合わせ持っている。前回ご馳走になった時は、鮎の背中に傷がある(友釣りで鮎を釣るとどうしても針の掛かった後が残る)のが気に食わなかったらしく、「傷物の鮎を食わせるのか」と怒り出した。後日、自分で鮎を釣りに出かけ納得したようだ(6回目で初めて釣れたらしい)。

 仲居さんと奥さんが、その場をうまく収めてくれたが、そのうち自分で鮒寿司を作り出すのでないかと思っている。

 私はこの鮒寿司が大好物で、独特の発酵臭も気にならないのだが、人によっては腐敗臭になってしまう。発酵と腐敗なんて紙一重。微生物が有機物を分解するところはまったく同じで、人間に役立つ場合は発酵、人間に害を及ぼす場合は腐敗となるのだ。要は人が勝手に決めているに過ぎない。

 この日は当然、日本酒を頂いた。たしか貴生娘だったと思う。吟醸香がほとんどない甘口で、熟寿司に特有のアンモニア臭を洗い流してくれ、魚が発酵した後の旨みを引き出してくれるいい酒だった。

臭いの強い肴には、あまり香りの立たない酒

これで決まり?

 

 

#つまみ

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