MENU

ウイスキーを片手に観劇など

 先日、演芸農耕者(どらまてぃっくふぁーまーず)の「木乃伊の傍ら(みいらのかたわら)」という公演を観劇してきた(振り仮名なしではどちらも読めない。もうちょっと誰でも読めるようにしたら?)。たまたま見えたお客様が出演しておられたので、20年ぶりで芝居小屋へ足が向いた。150人ぐらいで満員という感じの小さな小屋だったが、開演の30分ぐらい前に着いた時に、すでに前から4列ぐらいは埋まっていたのに少し驚いた。

 展開の速さと迫力に、刻(とき)の過ぎるのを忘れて、舞台にのめりこんだ。役者さんが手の届きそうな距離で、最前列は汗よけのカッパがいるくらい、熱演される。台詞の一つ一つに、次へ繋げる、あるいは託す深さがある。テーマが「死」であり、もっと暗いイメージを予想しながら出掛けたのだが、訴えかけられる部分が多く、を通してを考えさせられる内容だった。たった7人の出演なのに、舞台は狭く熱い感じがした(Tシャツより台本を売ってほしかった)。二日間の4回だけしか演じられるだけなのはもったいないとも思った。

 今までに小さな小屋での観劇は、大学時代に数度あるだけである。ミュージカルや、オペラ、オペレッタといったものを大ホールで見ているし、ブロードウエーはもちろんオフ・オフオフブロードウエーに出掛けたこともある。歌舞伎やスーパー歌舞伎は大好きでチャンスがあれば観るようにしている。落語・漫才も。苦手は能ぐらいかな(あのリズムは睡眠を誘う)。

 同じ芝居を何度も観るということはほとんどない。大学時代に一度だけ、練習から講演まですべて付き合ったことがある。大阪弁で演じる役回りの人に、大阪弁の発音を教えるためである。10人余りの小さな劇団で、一人三役なんていう台本が平気でまかり通っていた。舞台に立つ人も、裏で支える人も、いい舞台を作り上げることしか考えていなかった。あの若さと熱意を思い出させてもらえた。20歳とまではいかなくても、少しは若返るパワーを分けてもらった。

 ただ一つ難点があるとすれば、飲食禁止ということである。小屋のルールなのか、劇団のルールなのかは知らないが、ポケットのピューターを出せなかったのは少し悲しかった。中にSMWS No.53.94を少しだけ盗んで行ったのに。ガツンとくる中にかすかなフルーツの甘み、劇を見る前のイメージで選んだウイスキー。アンケートを早々と出して、ビルの外でちょこっと口に含んだ。自分のチョイスの的確さに、思わず自我自賛。

 大人が楽しむ場所に、酒はなくてはならない(単なるアル中?)というのが、持論である。ブロードウエーの劇場やパリ・ウイーンのオペラ座にはバーカウンターがあり、幕間にカクテルを一杯飲むのは一般的だし、幕の内弁当は歌舞伎の途中で飲むためにおかずを多くしてある。加藤登紀子さんのコンサートだったと思うが、舞台も観客も飲みながらというのがあると聞いたことがある。

 ウイスキーを片手に・・・

 大人ジャン

(演劇農耕者に興味のある方はhttp://home.att.ne.jp/theta/d-farmers/index.html)

#観劇

この記事を書いた人