スコットランドの地図を用意する必要はない。
記憶力(ない方は紙とペンで代用)と嗅覚と味覚と時間と根性と丈夫な肝臓と多少のお金があれば、誰にでも作ることができると思う。単に飲み続けるだけではなく、確固たる意識を必要としている。
常にニュートラルな状態を保ってウイスキーを飲む、などというのは不可能である。体調は変化するし、嗅覚や味覚に影響を与えない食事を取り続けるなんて無理。普通どおりの生活をしながら、飲みたいと思った時に飲んで、ウイスキー地図を作ろうというのだ。
これから書く方法が、本当にいいのかどうかは定かでない。「私はこれでウイスキー地図を作りました」が、「私はこれでアル中になりました」で終わるとも限らないので、ここまで読んだところで、覚悟ができない人は違うページに行くことをお薦めする。
まず用意するものは、信頼のおけるバーとバーテンダー。中身を入れ替えて出すようなバーは、ないとは思うが、貴方が判断してやりそうだと思ったら他所の店に移るべし。バーテンダーは言葉をたくさん知っている方が、貴方に分かりやすく説明してくれる。同じ店だけでは、持っているボトルの数が限られるので、バーは数軒用意できるにこしたことはない。
次にすべきことは、自分の好きなウイスキーで、安い部類に入るものを1本決めることである。できれば、どこのバーにも置いてあるものがよい。また、あまり刺激の強いものは避けたい。なぜなら、このウイスキーとは付き合い続けることになるからだ。私は上記の条件にマッチする、グレンリベット12Yを使った。
バーに入ると、まず「いつもの」と注文する。これが貴方が決めた1本である。一口すすってから、飲んだことのないボトルをオーダーする。最初は、オフィシャルの同じくらいの年数の物を選ぶのがいいだろう。チェイサーで口を洗ってから、そのウイスキーを口にする。すると、「いつもの」との違いが分かる。香りや味の違いを覚えていく。
もう1杯飲む余裕があれば、「いつもの」が残っているうちに、次を頼む。
これを繰り返すと「いつもの」を中心に、それよりフローラル・オイリー・ピーティーなどグループ分けした簡単な地図ができあがる。あとは貴方の努力次第である。その地図をだんだん詳しいものに、書き込みを増やしていくだけでいい。
次の段階は、熟成年数の違いを飲み比べていく。このころになると、「いつもの」を飲む必要はなくなっているはずである。地図が、どんどん立体化してくる。若い物と年寄りの差、蒸留所ごとの特徴、熟成に使われた樽の違いなど、本を執筆できるぐらいに成長する。こうして出来上がったウイスキー地図の1ページを明日アップします。
こうしてアル中が出来上がる
店では、2杯以上オーダーしていただける場合は、ハーフでも注文を受け付けている。色々飲んでみたいのは私も同じなのだから。
ウイスキー地図の作成に取り掛かってみませんか?
#テイスティング