MENU

酒と煙草

 友人のヤブ医者に診察を受けると、必ず「やめろ」と言われるものの二つである。日常通りの生活をしていて、病気を治せてこそ名医だと思うのだが、あやつは名医になろうとはしていない。1日に40~60本の煙草と、おつきあい(誰とでも最後まで)程度の酒は、医者にとっては手ごわい相手なのか?

 今まで旅した国々で、どちらも不自由さを感じたことはない。どちらかというと、煙草のほうがけむたがられているようには思う。特に欧米では。どこの国とは言わないが、空港に喫煙場所はあるにはあっても、とてつもなく不便な場所に作られており、はっきり禁煙にした方がスッキリしそうな所もある。最近は日本でも公共の場所や、一部のレストランなどで、全面禁煙になっている場合もある。

 しかし、バーで禁煙というのは、いまだかつて聞いたことが無い。それどころか、シガーバーやパイプバーなどは、いっしょに楽しんじゃえ、が売りである。キューバ産の葉巻をくゆらせながら、シェリーバットの重めのハイランドモルトを楽しむ。バニラフレーバーの葉をパイプに詰めながら、バーボンカスクのスペイサイドモルトを飲む。いいじゃないですか。

 香りと香りのハーモニーを、自分で創り出すなんて、まるでブレンダーになったかのような。

 どちらも嗜好品ではあるが、酒は浮気する人のほうが多い、というより間違いなくする。でも煙草は一銘柄一筋。切れたときのみ、隣の人の吸っている銘柄に変更するにしても。冒険心をかきたててくれるのは、酒の方なのかもしれない。

 いずれも

 時間と空間を演出するおしゃれな小道具

 でいてほしい。

 

#バー

この記事を書いた人