物を作る課程で重要なのは、段取りである。
設計図の必要な、例えばロケットみたいな大物は、設計者が綿密に段取りを考えて、最初の部品からどの順番で組み上げていくかまで考え尽くされている。どっかの国家予算なみにお金を注ぐのであるから、それくらいは当然である。
PCの一個の部品は非常に小さいが、作られる課程を考えると、とても面倒なことを繰り返して出来上がっている。もちろん大きな図面が用意されている。何枚にも渡る図面が、1?四方に収まっていたりする。
料理を作るにしても、食材の下処理をしたり出汁を引いたりという、目に見えないところからスタートする。鍋を火に掛けてから、あれが無いこれが足らないでは、まともな物は出来上がってこない。
段取りは料理人の頭の中にあり、一々レシピを見ながら作るということは少ない。コンロとグリルと電子レンジとオーブントースターとを同時進行で使いこなしながら、舌を頼りに作っていく。
私はやらないがカクテルを作るにしても、グラスに飾るフルーツのカットからシェーカーに入れる酒の準備まで、カクテルを作り始める前の準備があってこそ、お客様に満足を頂けるのだ。その作業がスムーズであればあるほど、出来上がったカクテルも美味そうに思えてくる。
モルトウイスキーを注ぐだけの私でも、「そんなの関係ネー!」とは言い切れない。
お客様が何杯オーダーされるか予測し(あくまで勝手に)、勧める順番を考え(お客様の予算も)、何度か見えた方であれば好みも考えて1杯をグラスに注ぐのである。
お客様の中には、「今日は○○円で◎杯」というオーダーをされる方もある。それなりに考えてお出しするのだが、「○○円ぐらいでもう1杯」という追加オーダーがたまにある。最後の1杯のつもりでアイラモルトをお出しした後だったりすると、悩んでしまうことも。
順番を考えずに作る物といったら、子供ぐらいか(笑)。
#徒然なるままに