今回の岡山への旅の第一の目的は、岡山の「酔族館」というバーにお邪魔することであった。
その前に貧乏人の私は、朝から起き出して大阪駅から新快速と普通を乗り継いで、倉敷に向かった。文庫と新書を一冊づつポケットに放り込んで、11時発の新快速で相生まで、2分乗り継ぎで普通岡山行に、17分乗り継ぎで下関行きで倉敷に3時前に到着。ブルーバックスの「酒を楽しむ本」佐藤信著を読みきった。駅弁とビールを350ml消費。
新幹線、特に山陽新幹線はトンネルばかりで、景色を楽しむ事ができない。回りにはビジネスマン風の人たちが多く、しょっちゅう切れる携帯電話と格闘している姿も見たくない。あっという間に目的地に着くので本が読めない。特急料金がかかる(ここが一番の問題)。時間が余っているのだから、在来線を利用してノンビリ色々楽しんだらいいではないか。 相生・岡山間の列車は3両しかないのにトイレがついていることに感動してみたり、回りの山が色づいて楽しませてくれたり、柿の木が重たそうに実をぶら下げていたり、前に座ったおばーちゃん達の岡山弁に旅気分を盛り上げてもらったりで、退屈する暇はなかった。
倉敷駅を降りると、まずは「カファ」というコーヒーショップを目指す。駅から歩いて3分。大学時代からあった店で、おいしいコーヒーの入れ方を教えてくれたマスターに会うのが楽しみ。
「キャメル」を注文。28年間コーヒーを入れ続けているマスターのこだわりに感動しながら、昔話に花が咲く。
続いて「ブレンド」をお代わりして店を後にする。
美観地区に向かう。目的地は大原美術館。入場料¥1000(学生時代は¥500だった)を払って、本館から棟方志功館、分館の順に見て回る。東洋工芸館の磁器・陶器のところと、仏像はパス。分館の一部に現代美術のコーナーができており、ちょっとびっくり。今までに20回以上訪れた美術館だが、何度訪れても、初めて見る絵があることには驚かされる。
次に向かうのは井筒屋さん。作り酒屋さんで岡山の方言をつけた酒を出されている。学生時代は端から端まで試飲して一本だけ買っていた。今回は目的の「知葉衣流(ちばける)」を試飲もせずに買った。女将さんにたくさん試飲させてもらった昔話などをしていると、7年物の古酒を最近ラインナップに入れたので飲んでみませんかと薦められ、思わず試飲。即購入。これ以上店にいるとまだまだ買ってしまいそうなので、店を出ることに。息子さんが後を継がないらしく今の代で店をたたむとの事で少し残念。
倉敷駅前に戻り、「とん平」という小料理屋に。ここも学生時代からお世話になっていた店で、名物女将に魚の食べ方や注文の順番など、いつも怒られながら美味しい物を食べさせてもらった店。移転されていたとは知らず、前にあった場所に行ったが見つからない。何か少し食べたくてウロウロしていると、少し離れた場所に「とん平」の暖簾を発見。嬉しくなって飛び込むが、宴会の予約が入っているようで、大皿はママカリのなんばんと飯蛸の煮つけのみ。中はてんやわんやなので、
「入っても良いでしょうか」とおそるおそる声をかけてみた。娘さんが後を継いでおられ、快く招いてくださった。名物女将は、10年以上も前になくなったとのこと。ここでも懐かしい話をしながら、飯蛸の煮つけ、メバルの煮付け、鰌汁と、生ビール1杯、焼酎2杯を頂き、やっと目的地岡山に向かう。
つづく。
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