人間以外でも、事切れる寸前にはやはり苦し紛れに叫び声を上げるようだ。
私が「それ」を聞いたのは昨日の夜の事。
仕事を終えて帰り支度をしようとロッカーを開けて着替え始めた時。
突如、「それ」は私の耳を襲った。
「キエェ〜〜〜〜!!キヨョ〜〜〜〜〜〜!!!」
「?!!」
慌てて事務所に駆け戻る私。
誰もいない部屋にその叫びは響き渡っていた。
そして叫びを上げ続ける「それ」は、私の机の上で苦しみもがいていた。
(もう、助かるまい…。)
私は「それ」を楽にしてやるために、そっと手を伸ばし………
電源を落とした。
本日午後、棺に納められた「それ」は新たな命を吹き込まれるべく、
本社の情報部門に向かって出棺されたのだった。
#雑記