MENU

痴的オッサン

 知的に、痴的な会話を楽しんでおられる常連さんがいらっしゃる。どっからどう見ても下ネタしかしていないのだが、いやらしさを感じさせないのである。もう相当なお年であろうし、「現役はとっくに引退した」とおしゃる。色気のある紳士だと思う。
 
 私の愛してやまない作家の一人に、開高健さんがいる。終戦直後に発行された「洋酒天国」の時代から、亡くなる寸前まで執筆活動をなさっていた。
 釣りの世界に引き込まれたのも、昭和53年に月刊プレイボーイに掲載された「オーパ」を読んでからである。酒の世界に引き込まれたのは、残念ながら彼のせいではないが。
 大学時代には古本屋を巡って、彼の本を読みあさったものである。酒と女と釣りをこよなく愛すると共に、見事に文章に残されている。きわどく痴的な話題を、モロ分かる言葉で、エロく表現してあるのだが、いやらしく感じさせないのである。

 バーの片隅で「愛してる」とか「好きだよ」とか「綺麗だよ」とかささやいている分には回りに被害がないので問題ないが、堂々と電車の中やデパートのエレベーターの中でやっている男を見ると、「もう少し本でも読んで勉強しなさいよ」と言いたくなる。もし、そのまま言ったら「女性の口説き方入門」という本でも探しそうな気がしてならない。

 知的な女性にもてたい意識が有るから、いろんな事を勉強していくのが男ではないだろうか。
 そして女性を追いかける気がなくなって初めて、素晴らしく痴的な会話が出来るようになる。
 私には、到底行き着けない世界なのかも知れない。
 

#徒然なるままに

この記事を書いた人