モルトウイスキーを語るにはどうしても「カタカナ」の表現が多くなる。
すでにモルトもウイスキーも、カタカナである。
スポーツの世界も、発祥地の表現をそのまま使うので、カタカナ使用率が高い。
釣りの世界でも、ルアーやフライはほとんどの用語がカタカナである。
しかし、ある年齢以上の方になると、どうもカタカナに対する抵抗があるように思える。
常連さんで70歳に近い方は、「こないだ飲んだ美味かったヤツ」というオーダーをされる。全くモルトの名前を覚える気など無い方である。お好きなタイプは、スペイサイドのバーボン樽熟成の麦の香り系のモルトだと分かっているので、こないだのとは違っていても文句は言われない。また、よしんば何をお勧めしたかを覚えていたとしても、そのウイスキーが残っているとは限らないのだ。
ライター時代にもそんな経験がある。
ルアーフィッシングの大会の取材に出掛けた時のことである。関西の主立ったスポーツ新聞の釣り担当がお見えになっていた。対象魚はブラックバス。鮎や投げの取材ではだいたいにおいて長老が優勝インタビューの代表質問をするのだが、その方から「今回はあんたが口を切ってくれ」と言われた。
そこで、記事にする上で必要事項を順に質問して、他の方に追加質問は無いかどうか確認したところ、それでよいとのこと。その質問を思い出すと以下のようである。メインの部分だけ。
「今日は、どんなポイントで釣りました?」
「△△△川の▲▲橋の橋脚と葦のブッシュの間のシャローですね。」
「何時頃?」
「11時半頃です。」
「その時のタックルは?」
「ロッドが◇◇社の☆☆5.8フィートで、リールは同じメーカーの★★です」
「ルアーは?」
「ジグヘッド。」
「カラーは?」
「パープルのラメ入り。」
「重さは?」
「3/8オンス。」
「ラインは?」
「12ポンド。」
「トレーラーは使ってました?」
「はい。ポークでカラーはやはりパープルです。」
「そのポイントを選んだ理由は?」
「早い時間はスピナベ中心にリアクションの釣りを考えていたんですけど、バイトもチェイスも全くなかったんで、10時頃からテキサスリグとジグヘッドリグを使い分けながら、深場からだんだん浅場へ移って、ついにこの魚をゲットしました。」
後は省略。
終わったと安心して帰り支度を始めたところ、私の周りにほとんどの取材陣が取り囲んでいる。何かしくじったのかと不安になる。
と、今の会話を解説して欲しいとのこと。全く会話の内容が理解できていなかったようである。
そこで、日本語に直せる部分は、すべて日本語で解説した。
次の日の各新聞の釣り欄にその記事が載っていたのだが、バス釣りを趣味にしている人にとっては理解しがたかったに違いない。竿の長さはメートル表示、おもりの重さと糸の太さは号表示、ポークに至っては豚の皮と来たもんだ。
そういえば、「ユニクロ」のことを「ウニトロ」と間違えていた方もいたらしい。「ニ」と「ロ」は合っているが・・・
お腹空いてたの?
#徒然なるままに