既に発売されてから、約10ヶ月以上も経つし、ご存知の方も
おられると思いますが、ニュ-ヨークタイムズ・マガジンの関連記事から、
興味深い部分を抜粋しました。
大英帝国探検隊を率いた、アーネスト・シャクルトンが、南極に持っていったウィスキーが2007年2月、シャクルトンが建て小屋を修復しようとした際、
永久凍土層から偶然に見つかった。
「 最高品質のハイランド・モルト・ウィスキー チャールズ・マッキレー社 」
ラベルには、1907年、シャクルトンが率いたニムロド号探検隊のために、
用意されたものだと書かれていた。
小屋のあるロイズ岬は、観光客が行く場所ではない。
1990年以来、ニュージーランドの「 南極文化遺産トラスト 」が、
そこにある何物も移動を許さないという厳格な姿勢を貫いてきた。
しかし、昨年( 2010 )になって、ウィスキーの箱を凍土から取り出し、
ニュージーランドで開けることとなった。
これだけ古いスコッチは、
希少価値が高いことは間違いないが、問題は中身だ。
… 中略 …
このウィスキーを3本、故郷のスコットランドに運ぶことになり、
今から5年ほど前に、マキンレー社のウィスキー・ブランドは、グラスゴーの
ホワイト & マッカイ社に引き継がれているので、ホワイト & マッカイの
マスターブレンダー、リチャード・パターソン氏の元に届けられた。
表向き、ウィスキーを故郷に帰す目的は、中身の科学分析ということだが、
しかし最初から、レプリカを作ることが、ちょっとしたお金に結びつく、
ということは、誰でも気付いてようだ。
… 中略 …
南極から届いた100年もののウィスキーは、コルクを抜くことが許されず、
注射器のようなもので採取されたが、色が濃く、薬のように見える
酒だと予想していたが、驚くほど淡い色合いだった。
パターソン氏は「 この透明さを見た時に確信した。 中身は腐っていない 」
と断言した。
パターソン氏はこのウィスキーを
「 果物の香りがあふれてくる。 リンゴにモモだ。
シナモン、カラメルのような風味も、ほのかに伝わってくる。
うーん… ピートはどこだろう 」
煙のような風味と、力強い味わいという予想に反し、
高貴で淡い風味で「 まるで美しい女性のようだ 」と解説した。
分析の結果、一つの蒸溜所でつくられた、
シングルモルトである可能性が高いことが分かった。
マキンレー社が、19世紀の終わりごろ持っていた、
「 グレン・モール 」という蒸溜所だったことを示していた。
グレン・モールは営業していない、だが、営業していた時代に生産し、
今も手に入るウィスキーがある。それがレプリカのベースになった。
シャクルトンのウィスキーは、ずっと凍っていたから、
熟成の程度は、せいぜい5年ものから10年もの。
逆説的だが、実はレプリカの方が年代物。
25年ぐらい熟成したもの使っている。
パターソン氏は、試行錯誤を繰り返し、24種ほどのウィスキーをブレンドした。
ほとんど気づかない、ほのかなピート香を出すという難解は、
グレン・モールから35㌔離れた、
ダルモア蒸溜所のウィスキーを使って解決した。
と、長くなりました。 … さんまる.さん拝
… 2011 The New York Time より… \m(__)m