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嗚呼、ロミオ

舞台を照らす眩いスポットライトが私は好きだ。

その光を浴びている間だけは、どんな人間にだってなれる。

叶わぬ貴方の恋人にだって。



私はか弱き可憐なジュリエット。

貴方は力強い勇姿のロミオ。



普段とは違う、舞台の上にいるこの間だけは、

私達は恋人。



たとえ貴方を愛していると公言できなくても

芝居なら好きなだけ愛を叫ぶことができる。

周りの目なんて気にもせず、

ただひたすらに貴方へ。



貴方もそれに応えてくれる。

甘い言葉を私にくれる。

いつもは出来ないこと。



だって、私達は従兄弟だから。



デートだってキスだって、公にはできない。

親の目、世間の目。

私達の周りには敵ばかり。



私達は光の中でキスをした。

一瞬の、触れるだけの口付け。

本当はもっと深く、口付けしていたい。



貴方への愛おしさ、世間への皮肉を込めて演じる。



「嗚呼ロミオ、貴方はどうしてロミオなの」

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