バランタイン・ファイネスト
特級(流通時期:1988年10月~1989年4月)
43度 750ml
主要原酒:ラフロイグ(アードベック閉鎖後)、ミルトンダフ、スキャパ、プルトニー、
バルブレア、グレンカダム、グレンバーギ、また、現行品ではトーモア等
輸入業者:サントリー・アライドライオンズ
総代理店:サントリー株式会社
価格:大阪某所にて1500円で購入
オススメ度(4)
☆☆☆☆
香り:アルコール感(メンソール)、ややヒネ、全体的にフレーバーはおとなしいが、
グレープフルーツやピート香、植物を伴う麦感、時間と共にフルーツ系の香りも感じることが出来る。
加水でアルコール感がなくなり、ややクリーミーで華やかなスペイサイド系のモルティさ、ミントのような香りも。
現行品のようなトゲトゲしさは少なく、適度にモルティで厚みもある。
味:ややオイリーで穀物系の甘さのある口当り、カラメル質でグレーンが強いか。
オレンジやグレープフルーツ、樽香、鼻抜けはカラメルや麦芽由来の香ばしさ、少し口の中がべたつくビターな余韻。
コメント:ブレンデットスコッチの定番ともいえるバランタインファイネストの特級表記。入手時期は昨年6月、ちょうど一年前。開封してから半年程度。
出張で大阪某所を訪れた際、早めに仕事が終わったので下町をぶらぶらしていると・・・ジムビームの特級と合わせて本ボトルを2本発見!速やかに確保した。
流石は末期とはいえ特級時代。現行品に近い味のベクトルだが、深みや熟成感、モルティさは断然こちらが上である。
しかし加水で時間と共に微量のパフュームっぽさが感じられるような・・・
ここは要検討課題として、「味」の項目には加水によるテイスティングを記載していない。
現行品については・・・若いグレーンや原酒のトゲトゲしさ、イガイガ感があり、
ウィスキーを飲み始めた3年前に始めて購入したときは、飲み進めることが出来なかった思い出がある。
今思えばずいぶん贅沢な感覚を持っていたんだなぁとw
また、ブレンデットでは珍しくないことだが、バランタインは主要原酒のひとつであるアードベックが、1980年ごろ(ここ怪しいです。)からラフロイグに変更されている。
加えて推測でしかないが、1959年に創業したトーモアの原酒が、1970年前後より熟成期間を経て使用可能になることと。
1989年より下記でも記載するアライドライオンズ社を含むアライド・グループがトーモア蒸留所を所有していることから、
このあたりからトーモアも主たるモルトとしてブレンドされていると思われ、これらの年代を境に味が変わっていると考えられる。
(原酒の質の条件もあるので、一概には言えませんが)
<以下余談、ボトルの流通時期について>
今回テイスティングしたボトルの流通時期は、特級時代であるがバーコードが張られていることに加え、
輸入業者がサントリー・アライドライオンズ、代理店がサントリー株式会社であることから、
・日本にバーコードが導入されたのは1988年
・サントリーがアライドライオンズ社と提携して、サントリー・アライドライオンズ株式会社を設立したのは1988年10月
(WEB上には10月12日のサントリーとアライドライオンズ社の業務提携と、同社の設立予告をするニュースリリースが残っています。)
・特級が廃止されたのは1989年4月
以上より、1988年10月~1989年4月の間であると思われます。
つまりこの表記のボトルは、実質6ヶ月未満の流通時期しかなく、案外短命だったことがわかります。
短命といっても非常に流通量の多かったボトルなので、モノは多く残っていそうですがw
また、話は変わりますが、上記条件から“古いカナディアンウィスキー”(確認できた最も古いモノで、
1982年の通関が張られたサントリー取扱いのCC)に特級表記が無いモノがある理由についても
アライドライオンズ社が保有していた在庫が、サントリー・アライドライオンズ社経由で1990年以降に流通した・・・というコトが推測できます。
<参考写真:特級表記のない1983年通関のカナディアンクラブ>
参考写真のブツなんて、7年以上前のボトリング品をメーカーが正規品として販売していたんですね。
平行品ならともかく、今考えるとちょっと凄い…
私はなんせそのころ酒が飲めませんでしたので、特級時代のことをほとんどといっていいほど知りませんが、
こういう端々の情報から調べることも出来るのですね。便利な世の中になったものです。
#バランタイン