洋酒業界を生きた企業戦士(阿部幾応著、1994年3月1日発行、新風書房刊)
1980年代以降、多く出版されるようになった「自分史」の1冊。
「企業戦士」という仰々しい言葉、いまや死語!(笑)
著者は、ニッカウヰスキーの元営業マンだ。
阿部幾応(あべいくお)氏は、
■ 昭和26年3月、東京農業大学農学部農業経済科卒業。
■ 昭和26年10月、大日本果汁に入社。
本社所在地が余市、社名をニッカウヰスキーと変更する前年のニッカである。
■ 昭和63年10月、ニッカウヰスキーを退職。
・サントリーがウイスキーを、どのように売ったか? (販売のサントリー)
・ニッカがウイスキーを、どのように造ったか? (品質のニッカ)
を伝える本は多いが、ニッカ営業マンの貴重な実体験を知ることが出来るのはこの本だけではないか。
竹鶴威会長兼社長(当時。現相談役)が、序文をお寄せになられている。
(一部)
今般、彼の37年にわたるニッカウヰスキーでの活躍ぶりを自分史にまとめられたのであるが、随所になつかしい旧知の名前が登場したり、またライバル社との火の出るような競争場面が展開して、まるで古い映画のフィルムでも見ているように、見事に揺籃期のわが社での活躍を活写されている。
少し大げさかも知れないが、これを読むと、過去半世紀における企業の時代背景を舞台にした大河ドラマを見ているような感じもするし、いたるところに開拓者の精神、いわゆるフロンティア・スピリットがみなぎっていて、血湧き肉踊る思いがする。
自費出版に近く、発行部数も少ない本だと思うので、もしどこかで入手できたら貴重な1冊だ。
#ニッカウヰスキー